世界的なスピリチュアルリーダーであり、「奇跡のコース(A Course In Miracles)」のティーチャーとしても活躍する、アラン・コーエンさん。
スピリチュアルなコーチングの実力で、長年、大勢の人の人生を導いています。
今回も、珠玉のエッセイを発信していただきましょう。

ある女性の「お願い事」に応えた末の意外な展開

近所のマーケットを歩いていたとき、一人のホームレスの女性が私に話しかけてきました。
前に彼女を何度か遠くから見たことがあったのですが、独り言を繰り返し、明らかに何か精神的にバランスを欠いている人でした。
彼女は私に、ポテトチップスを買ってくれないかと頼んできました。「もちろん」と私は答えました。
「どのチップスがいいですか?」
「Lay’sのスパイシーなものをお願い」

彼女が自分の欲しいものを言ってくれたことをうれしく思い、私はラージサイズのそれを買って、店を出るときに渡しました。
彼女は、そのとき、すでにコーンの形のアイスクリームを手に握っていました(彼女がお店に入ってくる多くの人たちに「お願い」をしていたのは明らかです)。

乱れた髪のその彼女は、それから驚くべきことをしました。ポテトチップスと交換に、私にアイスクリームを渡そうとしたのです。
彼女の気前の良さに感動しながら、私は「アイスクリームは要らない」と答えました。「全部あなたのものだ」と。
しかし、彼女は言い張り、私は結局、それを受け取ったのです。

ありったけの物を差し出されてお返ししたギフト

帰り道、運転をしながら、私は精神的なバランスを欠いた人であっても魂レベルでは、分かち合いと公平な交換についての原理を知っているのだと気づきました。
親切なことをしてもらったとき、人間の内側の何かが「有難う」と言いたがるのだ、と。時折、最も苦境にいる人たちの方が、互いに助け合うことの大切さを、より繊細に理解しているとさえ思います。

ネフレックスTVの「The Kindness Diaries-優しさの記録―」という素晴らしい番組では、冒険家でもあり、博愛主義者でもあるレオン・ロゴセティスが、金銭を持たずに地球を旅します。
そして、出会った人たちに食事や寝る場所、彼のバイクの燃料を分けてもらえるように助けを求めるという実験を行います。レオンは多くの人に断られますが、一方では、少なくはない優しい人たちが彼を広い心でサポートするのです。

ピッツバーグでは、トニーというホームレスがレオンにマットを渡し、温かい毛布と共に、自分がいざというときのためにとっておいた寝場所を与えました。
彼はまた、食べ物と、誰かからもらったパッケージに入ったままの新しい下着も、レオンに与えました。

トニーにはもう何も残りませんでしたが、彼は喜んで分かち合ったのです。たぶん、それは人を助けるという価値に勝るものが他にないことを、理解していたからでしょう。

レオンはお礼に、トニーが後に良い収入を得られるよう、仕事のスキルを学ぶためのトレーニングの受講料を払ってあげました。
このお礼の品をレオンが発表したとき、トニーの目から涙があふれました。優しさの循環は、ここに完結したのです。

少なく与えて多くを得るという幻想を打ち破る

仏陀が言う「正命:Right Livelihood」とは、善と奉仕の公平な交換のもとに、正しい生活が成り立つことを意味します。
私の著書『Spirit Means Business』では、お金とビジネスの分野において、人々を封じ込める恐れから生まれる10個の幻想について書いています。
その中の幻想の一つは、次のようなものです。

与えることをできるだけ少なくして、できるだけ多くのものを得ることが目的である。

この目的は、もし、あなたがスピリチュアルな気づきを得た人であれば全く意味がなく、つまらないものに思えるに違いありません。
誰かがあなたに食事を施してくれたり、移動のための手段を与えてくれたり、マッサージを施したりすることで助けてくれるのであれば、逆に「彼らを助けてあげたい」と思うのはごく自然であり、そうすることは魂を満たしてくれるのです。

私たちがお金の循環を、“愛を手渡し続ける循環”だと捉え直すことができるなら、きっと繁栄の真ん中に足を踏み入れて、豊かになれることでしょう。

ホームレスの女性はまた、私に受け取ることにオープンになることの大切さも教えてくれました。
最初は断りましたが、私はアイスクリームを受け取りました。私たちの多くは与えることは得意ですが、受け取ることに抵抗があります。
そのような抵抗は、与えることにケチケチすることと同じくらい強く、豊かさの循環を遮ってしまうのです。

与える側も受け取る側も癒してくれる感謝のパワー

私のメンターであるヒルダ・カールトンは、彼女ならではの方法で、この学びを強調しました。誰かがヒルダに対して「素晴らしい講義でした!」と言うと、むしろ、与えるというギフトを拡大するチャンスを与えるのです。

彼女はこう返します。「本当に良かった?」
「ええ、もちろん!」と生徒は答えます。「私は自分の人間関係を改善するために使える、価値あるヒントを学びました!」と。

ヒルダはさらなる誉め言葉を求めたのではありません。彼女はエゴがとても少ない人で、他者からの誉め言葉を必要とはしませんでした。
代わりに、その人が誰かに与えることによって、自らギフトを得る体験をする機会を与えたのです。
時々ヒルダは、感謝に基づいた瞑想を、私たちにガイドしてくれました。自分を愛し、助けてくれる人たちに感謝するようにと。

そして、彼女はこう付け加えるのです。
「そして私にも感謝を送ってください。私にはあなたたちからの感謝は必要ありませんが、あなたたちはそれを与えることが必要なのです」。

誰もが皆、「ありがとう」を与えることが必要です。私の住む国では「Thanksgiving(サンクスギビング)」という、感謝を表現するための祝日があります。
しかし、誰もが本当は毎日それを表現する必要があります。自分を良い人にするためではなく、いつかやってくる神様からのお返しを期待して、ではなく。
感謝とは、与える側も受け取る側も癒してくれるものだからです。

見えざる叡智の存在エイブラハムをチャネリングするエスター・ヒックスは、こう教えています。

感謝とは、私たちの真の本質を最も象徴する心の在り方であり、だからこそ、それは私たちを天国に最も近い場所へと高めてくれる。

聖書においては、「神は私たちに全てを与えたもう」と何度も説かれてきました。もし、全てを与えられるのであれば、全てを喜んで受け取らなくてはなりません。

神には、その人ががどれほど受け取れるか、その祝福の量に制限はありません。自分自身を制限しているのは、自分に他ならないのです。
スピリチュアルな道のりの目的は、善なるものへの受け取りの制限を取り払い、それを全て受け取ることにあります。

時々、精神的に障害を抱えている人たちは、多くの人々よりも天国により近い場所にいるのかもしれません。
そのホームレスの女性は、喜んで愛を求め、受け取り、そして与えてくれました。
私たちも、彼女のようにできないはずはないのです。

(翻訳/桜水現実)



アラン・コーエン
アメリカ生まれ。ハワイ島在住。世界25カ国で著書が発売されているベストセラー作家であり、セミナーリーダー。全米のTVやラジオなどに多数出演する他、多くのスピリチュアルドキュメンタリーにプレゼンターとして出演。「101 Top Experts that Make our Life Better(より良い人生へと導くエキスパートトップ101人)」の中に名を連ね、その教えの深さと大きさから「Mentor’s Mentor(メンターのメンター)」と呼ばれている。毎年来日するほどの親日家であり、日本でも15冊以上の翻訳本やDVDが発売されている。代表作に『人生の答えはいつも私の中にある』『「願う力」で人生は変えられる』など。

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アラン・コーエン著/本田健訳/PHP研究所

 

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