世界的なスピリチュアルリーダーであり、「奇跡のコース(A Course In Miracles)」のティーチャーとしても活躍する、アラン・コーエンさん。
スピリチュアルなコーチングの実力で、長年、大勢の人の人生を導いています。今回も、珠玉のエッセイを発信していただきましょう。

 

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2021年9月に発売した待望の新刊!
『癒しのマスター・キー 』
アラン・コーエン著/赤司桂子訳/ナチュラルスピリット

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いら立つ状況を心地よい時間に変えた、温かな繋がり

レンタカーのデスク前に多くの人が待ち、長い列ができているのを見て、私はびっくりしました。50人近くが並んで待っているのに、取り扱いデスクはほんの数個しかないのです。
「少なくとも、一時間は待たなくてはならないな」と私は思いました。「もう決して、この会社からレンタカーはしないぞ」と。

私の後ろに並んでいたのは、トムという男性でした。待ち時間中に、おしゃべりをしていた時、「そう言えば、私はこのレンタカー会社の優先メンバーだった」と気づきました。
「もし、下の階の優先デスクに行ったら、早く借りられるかもしれない」私はそう思いつき、声に出しました。すると、トムがこう言ってくれました。
「行ってきていいよ。君のこの場所は、僕がとっておいてあげるから」と。
なんて、優しいのでしょう! 私は彼にお礼を言いました。そして、「優しい彼のために、天国の席をとっておいてあげよう!」と思いました。

優先デスクもかなり混んでいたので、結局、私はトムがとっておいてくれた元の場所へと戻りました。列が少しずつ進んでいくにつれて、トムと私も、笑ったり話したりして、もっと仲良くなりました。
長い列で待っている時のイライラは消えて、時間はより早く流れました。
なので、デスクの前にやっと来た時に、私はトムに「お先にどうぞ」と言いました。そして、私たちは互いに温かい握手をして、これからの幸せを願い、良いお別れをしたのです。

すべての旅路にある、旅人自身も知らない目的地

『奇跡のコース』には、「私はそれが何のためにあるのか、わかっていません」との一文があり、それを私たちに覚えておくようにと言っています。
その言葉は、“恩恵ある人間関係は、癒しへの最速の道を与えてくれる”と説明しています。
私は、車をレンタルするためと思い、列に並びましたが、一方で、より大切な機会を得てトムと繋がり、お互いにその状況で助け合いました。私たちは、互いに奇跡を与え合ったのです。

ユダヤ系の神学者マルティン・ブーバーは、「すべての旅路には、旅人自身も知らない秘密の目的地がある」と言っています。
エゴの目的地はいつも物理的なものです。しかし、スピリットの目的地はもっと深いところにあります。
私たちは、物理的に何かを得るためにここにいると思い込んでいますが、実は、もっと霊的な成長を目指してやって来たのです。
体験(特に試練を伴う体験)を、その表面的な価値だけを受け取って終わらせないようにしましょう。目で見えているものだけでなく、もっと祝福の扉に向かわせるものが、常に体験の中には隠されているのです。

迷惑に思えるものに隠されている天使のギフト

友人のナディーンは過去数年間、ハワイで、何軒かの家のハウスシッターとして渡り歩き、暮らしていました。彼女は、ワイメアという小さな町に、自分だけの家を持ちたいと心から願っていました。

そんなある日、ナディーンが海岸で日光浴をしていると、海からたった今上がってきたばかりの犬が近づいてきて、体を激しく振って海水を払い落としたのです。その飛び散った海水に直撃され、彼女は驚きました。
すぐに犬の飼い主が走ってきて、謝りました。それがきっかけで、二人はおしゃべりを始めました。
飼い主の女性は、「ワイメアにコテージを借りていたけれど、引越しをしなくてはならず、賃貸契約を引き継いでくれる人を探している」と言いました。

その詳細をナディーンが聞いた時、彼女は自分の耳を疑いました。そのコテージは、まさに彼女がずっと探していた物件そのものだったのです。
1ヵ月後、彼女は自分の理想の地へと引っ越しました。濡れた体から水をまき散らした犬は、ナディーンにとって、最初は迷惑なものに思えました。
しかし、蓋を開けてみると、彼は天使だったのです。

迷惑なものを悪いものだと、早々に決めつけないようにしましょう。深く見つめてみれば、そこには常に何かしらのギフトを見つけられるはずです。
ある友人は私にこう言いました。「何か邪魔が入る時が、一日の中で一番のギフトがもたらされる時ね」と。

奴隷となり、投獄された後に預言者となったヨセフの言葉

「捉え直し」という崇高な練習を通して、状況を違う角度から見ることで、そこに好機を見つけるように、私たちは求められています。
すべての状況に意味を与えられるのは、あなた自身です。もし今、目の前の状況に痛みを感じているならば、その状況の目的を否定的に捉えているのかもしれません。

同じ状況でも、目的がより高いところにあるとみなし、別の見方をしてみると、問題は消え、代わりに道がはっきり現れます。奇跡とは、見方を変化させることから生まれるのです。

聖書に書かれている話の中で、ヨセフが、彼に嫉妬した兄弟たちからエジプトに奴隷として売られ、後に、えん罪で牢獄に入れられてしまう話があります。
しかし、その後、ヨセフは預言の才能を見出されて釈放され、その後はファラオの一番の相談役になります。
それから何年も経った頃、自分たちが住む王国が飢饉に見舞われたヨセフの兄弟たちは、エジプトに食べ物を乞うためにやって来ます。
そして、彼らは自分たちがまぎれもなく、あのヨセフの前に立っていることに気づくのです。彼らは自分たちの先の過ちを詫びますが、ヨセフはこう言います。
「あなたがたは悪をたくらんだが、神がそれを善のはからいへと変えた」と。

これは、「試練を伴う全ての状況」についても言える真実です。
ある出来事が悪いこととして始まっても、結果的には、善なることに切り替わって落ち着きます。
すべてのマイナス(ー)は、気づきという縦の一線(|)を加えれば、プラス(+)に変わるのです。
スピリチュアルな存在である私たちは、物質的な目的だけを果たす体験では満たされません。体験の中に、スピリチュアルな目的を見出だせた時にこそ、満たされるのです。

人生はより人と繋がるためにある

ある教師が、生徒にこんな質問をしました。

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朝起きて、「フレンチトーストが食べたい」と思ったと想像してください。
でも、あなたは卵を持っていません。なので、近くの小さな店に行き、卵をいくつか買って、その時に店員と短いおしゃべりをしました。

よく行く店なので、あなたは彼を少し知っています。なので、彼の子どもが新しい学校にはなじめたかどうかを聞き、会話をしました。
そして、家に戻り、フレンチトーストを作りました。

さて、あなたがその店に行った目的は何だったのでしょう。
***

生徒はこう答えます。「卵を買うためです」。
「いいえ、本当はそうではありません」教師は答えました。
「卵は店に行って、店員と繋がるための理由に過ぎないのです。人生は、卵のためではなく、人と関係を築くためにあります」と。

すべての体験には、目に見えるものよりも、もっと素晴らしい目的があります。
どの出会いも偶然ではありません。起こることはすべて、私たちをスピリチュアルなギフトや成長へと導くために計画されています。
“人生はどこかに行くためではなく、より人と繋がるためにある”と気づけば、私たちは今立っている場所で、宝物を見つけられるのです。
たとえ、その場所がレンタカー待ちの列であっても──。

(翻訳/桜水現実)

 

アラン・コーエン
アメリカ生まれ。世界25カ国で著書が発売されているベストセラー作家であり、セミナーリーダー。全米のTVやラジオなどに多数出演する他、多くのスピリチュアルドキュメンタリーにプレゼンターとして出演。「101 Top Experts that Make our Life Better(より良い人生へと導くエキスパートトップ101人)」の中に名を連ね、その教えの深さと大きさから「Mentor’s Mentor(メンターのメンター)」と呼ばれている。毎年来日するほどの親日家であり、日本でも15冊以上の翻訳本やDVDが発売されている。代表作に『人生の答えはいつも私の中にある』『「願う力」で人生は変えられる』など。

 


『頑張るのをやめると、お金とチャンスがやってくる』
アラン・コーエン著/本田健訳/PHP研究所

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