集団的な悲運に共通するのはそのとき同じ場所にいたこと
黒門 韓国奇門遁甲にはびっくりしましたよ。日本や台湾の奇門遁甲は、方位ありきじゃないですか。
韓国奇門遁甲のメインは「推命」なんです。特に、今年の運勢を占うんです。
その翌年、初めて中国に行ったら、そこでは「卜占」が主流だったので、「やっぱり、卜占が一番の基礎なんだな」と思いました。卜占の技術をもって、推命や択日を行う、なんです。
なのに、基礎をまったくやらずに最初に方位学をやるから難しいことになるんです。「この方位を使えば金運が良くなる」とかね。
田中 そうですね(笑)。
黒門 僕の本にも書いていますけど、御嶽山の噴火でたくさんの人が亡くなりましたが、あの時、吉方位から来た人も、凶方位から来た人もいたんです。
秋葉原の通り魔殺人事件も、被害者たちがみんな凶方位から来たかというと、そんなことはないでしょう?
では、「その人たちの共通点は何か?」ということ。
もちろん生年月日も違う。となると、「同じ時間に同じ場所にいた」ことしかないんです。そこを表していると考えるべきですよね。
御岳山の噴火のときは、奇門遁甲では北東の「艮」の方位がものすごく悪くて。でも、それは僕からすると「北東に行くな」じゃなくて、「山に登るな」っていう意味なんです。
田中 なるほど。艮を方位じゃなくて、象意として解釈するんですね。
黒門 そう。だから僕は「離」を南と解釈しません。「離」は南を表しますが、暖かい、明るいものは、結局は離の意味になります。
極端に言うと、ずっと真っすぐに進んで南極に行ったら、とんでもなく寒いでしょ? それは「坎」が持つ意味と同じになるんです。だから、そもそも地図に線を引くのはナンセンスというのが、僕の考え方です。
本でしか学ばない素人にとって、気学は難しい占術です。卜占の達人レベルにならないことには、使いこなせないんです。
田中 確かにそうでしょうね。
鑑定以外に力を注ぐのは開運のための施術
黒門 韓国に行った次の年に、中国の河南省に行って、劉広斌老師に拝師しました。最初に行ったときに3日、次に行ったときに1週間教えてもらいました。
田中 そんな短期間で学ぶんですね!
黒門 中国では今、一週間の集中講座で学ぶのが普通なんですよ。それと、僕の場合、奇門遁甲の基礎はすでにできていたので、スムーズでした。
私が、中国で劉広斌老師とお会いしたのは2002年です。訪問時、私が前年に出版した『活盤奇門遁甲精義』を持参しました。それをご覧になった老師は「君はよく勉強してる」とおっしゃり、入門の許可を得たんです。
前年の2001年に韓国の奇門研究所を訪問していたこともあり、すでに一通りの奇門遁甲の専門知識は身に付けた後でした。
そのため、劉氏奇門のオリジナルな部分だけを学ぶには、短期間でも十分だったんです。
田中 「韓国奇門」「劉氏奇門」を経て、スクールの運営はいつからスタートしたんですか?
黒門 2001年からです。当時、インターネットのニフティに占いフォーラムというものがありました。情報収集のためにいろいろ教えてほしくて、そこにアクセスしているうちに、結局は教える方になっちゃって(笑)。
僕のホームページに「教えてほしい」という要請が来るようになり、そこからスクールをスタートしたんです。
田中 現在は、生徒さんに教えるのが中心ですか? それとも鑑定ですか?
黒門 半分半分ですね。鑑定はずっとやっています。どちらかというと問題解決系が多くて、困った問題を帳消しにするみたいな感じです。
そういう問題解決型の出張鑑定は、月2件ぐらいが限界ですね。僕のところにくる人の相談は、内容が重たいからです。例えば、10何億の訴訟に関する相談だったりするので、けっこうエネルギーを使います。
だから、何件もできなくて月2件くらい。「風水だけみてください」って言われて、「じゃあ、ああしなさい、こうしなさい」というだけの鑑定だったら、いくらでも受けられるんですけど。
なので、風水だけの出張鑑定や図面鑑定、対面鑑定等は、月に数十件こなしています。
田中 なるほど。地方には行ってらっしゃいますか?
黒門 大阪と福井には行ってますね。福井は、どちらかというと施術の方がメインで、開運小顔施術学院をやっています。カイロプラクティック歴15年の先生に学院長になってもらっているんです。
そこでの僕は施術は素人だけど、それとは別でプロの施術家の方たちに開運のための施術の仕方を教えているんです。
田中 不思議な現象ですね(笑)。もし、運の悪い人から、「風水で改善してほしい」と相談されたらどうします?
黒門 風水だけじゃなく、四柱推命やインド占星術の処方など、その他の対処法も全部行いますね。中医学的な食べ物のアドバイスや、催眠療法やチャクラ調整も。
でも大体、風水と八字処方で結果が出ます。劇的に良くなる人もいるし、行き詰まっていた事態が軽減する人もいるし。
速攻で効果が現れる開運の技をTV番組で披露
田中 15年前、スーパーテレビに出演されたのは、何がきっかけだったんですか?
黒門 テレビ局が、ある企画で占い師を探していて、何人かの占い師と会ったらしいんですが、納得できたのが僕だけだったらしく、占い師に占いを教えてる学校を運営していることも面白がられたんです。
田中 ずっと追いかけられてるような感じの番組でしたよね?
黒門 実質、半年くらいはそうでした。しんどかったですね。
田中 いまだに覚えてるのは、奇門遁甲を使って、モテない男性をお見合いパーティーでモテさせるみたいな企画。
黒門 あれ、実際には風水やインド占星術の処方も使った合わせ技なんです。でも、1週間で結果出さなきゃいけないから、そうなると奇門遁甲しかないんですよね。
田中 あのときに話題になったのが「釘打ち」でしたね。
黒門 今は、やらないですけど。
田中 気学の「杭打ち」とは違うんですか?
黒門 違います。TV番組で行ったのは玄空大卦(げんくうたいか)の「速發日課」です。玄空大卦はすぐに効果が出るので、それに「八字択日」をプラスしたんです。
当時は、玄空大卦で出した数字をさらに奇門遁甲で絞り込み、その数字に釘をドーンと刺しました。ですからあれは、僕のオリジナル技法で世界で僕しかできない。
なぜそんな複雑な合わせ技をやったかというと、結局、テレビは収録の関係上、普通の風水じゃ時間がかかるけど、風水の中の釘打ちは択日扱いで、択日というのは短期間で結果が出るから。
方位をとることで短期間に運が良くなりますが、あの方法はわざと凶方位を使う方法で、少し間違うと副作用が出る危険な方法でもあるので、本当はあんなのは邪道です。正式には風水ではなく、択日です。現実の打開に刺激を与えるためのものなんです。
田中 はははは。邪道なんですか。
黒門 択日は、日が経つと元に戻っちゃうんです。方位を使ったのと同じだから、やり続けない限りダメです。
居酒屋さんに対し択日を行いましたが、バーとお客さんが来たけど、しばらくしたら元に戻りました。速發日課というのは特に効果が早い分、効果が消えるのも早いんです。
これをなぜ、もうやらなくなったかというと、現在は別の方法を使って、安全で、かつ短期間に効果が出る方法を確立したからです。15年前のTV番組のときは、よくあんな粗削りな鑑定やったなって思うし、今はあんなことやらなくても、風水で3日くらいで効果が出せます。
僕は今、「玄空飛星」「陽宅三要」「玄空六法」の3つを重ねて行いますが、どれも他の方がやっているものとは違います。