東洋占術の本場でいいかげんな情報が出回っている理由

田中 中国占術や風水の中には、日本文化になじまない部分もありますよね?

黒門 道教には「符咒」(ふじゅ)というものがあります。神社などに売られている護符や靈符、御神符などのルーツだとされています。
古代の中国人は、符咒で潜在意識に働きかけて、潜在意識レベルの問題を解決しようとしたんです。
僕が符咒だけは勉強しなかったのは、符咒は中国の神様だから。日本人が中国の神様に手を合わせるのはどうなのかと思って。
道教のイニシエーションをするということは、神道のイニシエーションから外れるってことですよね? ある意味、日本人をやめなきゃいけないことになる。

田中 風水でもそうですよね。道教や向こうの習慣と絡み合っていて、埋葬の仕方も違うし、お墓のこの位置に神様の像を作りましょうとか、日本の文化と合わないです。
それをやりたがる人がいるから、こっちとしては非常に困りますね。

黒門 住宅構造も全然違いますし。中国の教えをそのまま持ってきても効かないことも多い、なので日本になじませるために20年間くらいかかっています。
だから、中国の本にやり方が書いてあっても、その通りにいかないことが多い。特に中国人は核心に触れないように書きますし(笑)。
彼らは本当のことは教えたくないものすごい秘密主義だから、常に裏読みしないと(笑)。親しくなると言葉のはしばしに本当の情報を出してくるから、それをかき集めてようやく本当のところが見えてくる感じです。

田中 いわゆる西洋的な「オープンにしましょう」的な学問のアプローチの仕方じゃないですからね。

黒門 占術や風水の秘密主義の部分が中国と似ているのが、台湾です。本にしても、うんちくがずっと書かれていて、最後に少しだけ本論で、「え、これだけ?」みたいな(笑)。大抵、占術の古典の引用ばかり書いてあって、使えないという。
あるとき、台湾の本に載っていた実例がわかりにくかったので、他の本も調べてみようと何冊か台湾から取り寄せました。すると、どの実例も同じ内容だったんです。

田中 右から左のコピーだったんですね? 自分たちで検証したんじゃなくて(笑)。

黒門 そんなのばっかり。ほんと、古い台湾の本はひどいのも多かったですよ。その点、香港の本は、イギリス文化の影響なのか割とオープンな内容だと思いますね。

宿命と自由意志の関係、占い師の人格について

田中 人生の宿命と自由意志の関係はどうお考えですか? 宿命は自由意志で変えられないものなんでしょうか?

黒門 潜在意識の話と関係しますが、実は「自由意志はあるようでない」んです。潜在意識レベルが働いているので……。

田中 自分で選択してるように見えて、そうでではない。

黒門 そう。だから結局、宿命通りになっていることになる。

田中 なるほど。では風水でどれぐらい、出生時の運命を改善できますか?

黒門 それは無理でしょうね。だってそれは、日本人が黒人に「かけっこで勝とう」みたいな話ですよ。
DNA的には、そういうことだと思います。ただ、かけっこをすごく頑張れば、黒人の遅い人には勝てるかもしれません。そういう意味です。

田中 あと奇門遁甲を使えば魔法のように人生をバラ色に変えられると考えている方もいらっしゃると思いますが。

黒門 内藤文穏先生が言ってましたが人生の3分の1くらいしか変えられないですよ。

田中 そんなもんですか。

黒門 まあ、でも、ましにはなりますよ。

田中 占いの精度と人格の関係ってどう思いますか? 人格が低い人でも当てられるのでしょうか?

黒門 当てることはできるでしょうし、人格は関係ないでしょうね。 言い方悪いけど、むしろ、ある意味で人格の悪い人の方が当たりますよ。歯に衣をきせずにズバリと言いますからね。

田中 はははは。

簡略化される占いの世界を牽引するのは昔の世代

田中 占いの未来はどうなると思いますか?

黒門 簡略化していくんじゃないでしょうか。台湾などを見ていても、昔はちゃんとした本ばっかりだったのに、最近はナンチャッテ本ばかり増えてきたでしょう?
日本だって、僕らの若い頃は一般の人も読めるようなしっかりした本が出ていました。でも、今は専門書しかないし。本格的な占術はどんどんなくなっていくんじゃないかな。

田中 一般の人向けの本と専門書の格差は、東洋も西洋も広がっていますね。すごく勉強している人と、していない人との二極化ですかね。

黒門 もっと分かれていくでしょうね。対象年齢も40代、50代で、若い人があまり占いに興味を持てない。昔は占い雑誌や神秘系雑誌が多かったけど、その時代の読者がいまだに牽引している感じですからね。
占いって結局、スピ系なんですよね

田中 念ずれば叶うというか、楽したいというか。ロジックを追って勉強するようなしんどいことはしたくないんでしょうね。

黒門 昔に比べて、一般書を書かなくなったんです。簡略して、「○○するだけで」みたいなレベルが望まれているし、じっくり読んでもらうものではなくなっている。そんな雑誌は、電車の中で読んでポイ捨てされるかもしれない。

田中 確かにそうですね。この道はマスターするまでに時間がかかりますからね。

黒門 でなきゃ、僕も45年間もやっていないですよね(笑)。

 

おまけのQA 教えて、黒門さん

──誰でもできそうな方法で、なおかつ今年、特にお勧めの開運法はありますか?

誰でもできる開運法があるけど、あまり明かしたくないかな(笑)。
でも、これは教えて差しあげます。
択日的な開運の基本的となるのは、1日のスタートにあります。それが、朝起きた時と、自宅を出る時の「出門」。
2020年は八白土星が北西に位置し、八白土星は「金運」を表します。そして中国だと、「朝起きるときに、最初の一歩を北西に踏み出すと開運に効果が現れる」とされます。

そこで、お金に対して変化を起こしたければ、ベッドから踏み出す方向を吉方位の北西にすることです。
金運以外であれば、例えば、恋愛運を上げたいなら、恋愛運を司る一白水星が位置する北東方向へと、最初に踏み出すこと。
1日だけだと効果は出ませんが、毎日続けて1年間という年単位の行動になっていけば、必ず効果が現れてきます。

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アーロン千生、黒門
第三の目を開くワークショップ
日時/2020年2月29日(土)、3月1日(日)10:00〜17:00

会場/大橋会館(東京都目黒区東山3-7-11)


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黒門
こくもん/1958年生まれ。十代の頃中国占術と出会う。以来、奇門遁甲を中心に四柱推命や紫微斗数、六壬神課、河洛理数、風水など様々な中国占術を、特定の流派に属さず、独自の立場で研究する。また、韓国・インド・チベット・東南アジア等の中国周辺に伝わる占術の研究や、これらの占術と中国占術との歴史的関係等についても研究対象としている。中国・韓国に渡り現地の占術家とも交流。中国河南省の劉廣斌老師、韓国の趙宰星氏等に師事。国際劉氏奇門遁甲発展応用中心研究員(中国)、東洋術学会会員(韓国)、International Institute of Vedic Astrology会員(インド)。
書籍、雑誌掲載、TV出演多数。
https://www.kokumon.com/

成功をつかむ究極方位
『奇問遁甲』

黒門著/説話社

 

 

 

田中要一郎
たなかよういちろう/占術研究家。芸人。1974年和歌山県生まれ。早稲田大学卒。高校時代より占いに興味を持ち、研究を始める。西洋伝統占星術、インド占星術、七政四余など古典をベースとした東西の占星術を比較研究する。五術研究家の阿藤大昇の門下で「三式、三典」を伝授され、香港の世界五大風水師の筆頭であるレイモンド・ローからは風水を伝授される。レイモンド・ロー公認風水師。占術は日本のみならず中国、インド、欧米の諸師にも学ぶ。主な占術は、「西洋伝統占星術」「子平」「インド占星術」「風水」「易」「タロット」「人相・手相」「姓名判断」など多岐にわたる。
翻訳書籍は『子平推命基礎大全』(梁湘潤著、太玄社)、『クリスチャン・アストロロジー第1&第2書』『クリスチャン・アストロロジー第3書』(いずれもウィリアム・リリー著、太玄社)。

田中要一郎の占術世界
http://uranaigeinin.com/

ブログ
https://ameblo.jp/uranaigeinin/
http://gree.jp/tanaka_yoichiro/blog

『クリスチャン・アストロロジー第1&第2書』
ウィリアム・リリー著/田中要一郎訳/太玄社

 

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