2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、社会生活は信じられないほどに一変してしまった。
身近に接する人々や行き交う人々の顔がマスクで覆われているという、異様な光景。
5月中旬の段階で、“米国内の14州ですでにマスク義務化を解除した”というニュースが報道されていたが、相変わらず日本ではマスク着用が当たり前になったままだ。

筆者がマスクを着用し続ける過程で氣づいたことは、「息がしづらい」「呼吸が苦しい」ということだった。
「いったい、いつまでこんな状況が続くんだろうか?」、そんなやるせない思いを抱いていた時、『呼吸法の極意−ゆっくり吐くこと−』(BABジャパン)という、一冊の本を読む機会が訪れた。

今だからこそ読みたい、究極の呼吸法実践書!

著者は、日本を代表する世界的ヨーガ指導者の成瀬雅春さんだ。
彼は地上1メートルを超える空中浮遊ができる超人でもあり、クンダリーニ覚醒技法や系観瞑想法などを独学で習得。2001年には全インド密教協会から、「ヨーギーラージ(ヨーガ行者の王)」の称号も授与されている。

今年2月には、日本の出版界の革命児であり、時代の寵児となった角川春樹さんとの対談本『永遠の今を生きる』(徳間書店)が発売されている。
『呼吸法の極意−ゆっくり吐くこと−』は2005年に発売されていたが、この6月に「新装改訂版」が発売された。この時期に発売されたのは、コロナ禍の影響なのだろう。

成瀬さんという人物には以前から関心があった筆者は、同書に興味深く目を通した。読み終わっての感想はズバリ、こんな感じだ。
このコロナ禍のマスク社会で、本書は非常に役立つと断言できる。
成瀬さん自身が身体の感覚を感じながら体得し実証した実践書で、内容は秀逸!
情報量も半端ではないほどに、盛りだくさんで、ヨガの極意書に記されている呼吸法や集中法も、これでもかというくらいに凝縮されている。

それにしても、成瀬さんが45年という膨大な時間を費やして研究し、体感し、修得された叡智を、こうして本書で知ることができるとは!

不食者と呼吸法の関係性

全編280ページの本書には、興味を惹かれる項目がとても多いのだが、個人的には第1章「プラーナを食べる」の箇所が有意義で役に立った。
自分自身、30代後半からアトピー性皮膚炎を発症し、その改善の過程で小食の世界を探求することに。結果として、1日1食生活が可能となり、そのライフスタイルも今年で14年目になった。
ジャスムヒーンさんや秋山佳胤さんのような「不食」にまでは及ばないけれど、もし「不食」を目指すなら可能かも知れないと思えるような記述が、第1章には記載されていた。

インドのギリバラという女性の行者は、50年以上も飲まず食わずで元気に活動していたそうである。ギリバラは「ある種のマントラの使用と、普通の人にはできないような難しい呼吸の実修から成っております。薬や魔術は全然用いません」といっている。
その飲まず食わずで生きられる技術のうちの「普通の人にはできないような難しい呼吸」だが、これはたぶん「ケーヴァラ・クンバカ」と「ヴァーユのコントロール」「クリヤー・プラーナヤーマ」などのテクニックではないかと思われる。

 

ありがたいことに「ヴァーユのコントロール」と「クリヤー・プラーナヤーマ」については、本書の第4章「超越的な呼吸法」の中でしっかり解説までされている!
これらの呼吸法を習得できれば、もしや「不食」も夢ではないかも(笑)。

孤独な時間を「呼吸法」で豊かに

他にも、同じく第4章の「空中浮揚に必須の呼吸法の極意」や「特別収録 全集中!幻の呼吸法『ツンモ』〜驚異の身体発熱テクニック〜」など、ワクワクと心躍らせながら読んでいる自分がいた!
本書を読める方々はとてもラッキーだと思うが、内容はかなり高度なので、どちらかというとコアなヨーガ修行者向きだと思える。まだ初心者レベルの方は、正確に行うために成瀬さんが指導されている教室で学ぶのも良いかもしれない。

ちまたには「呼吸法」関連書籍がかなり発売されているが、本書と並んでお薦めしたいナチュスピの書籍は、こちら!

『究極の呼吸法』
ヨギ・ラマチャラカ著/柏木栄里子訳/ナチュラルスピリット
本体1,136円+税

著者の本名は、ウィリアム・ウォーカー・アトキンソン(1862年〜1932年)。法律家、実業家、心霊研究とニューソート(新思想)運動の権威として活動し、ヨギ・ラマチャラカ名義で、ヨガや呼吸法の著作を書いた。
明治・大正・昭和初期に活躍した実業家であり、思想家の中村天風にも多大な影響を及ぼしている。
ラマチャラカの他にも、セロン・Q・デユモンなど多くのペンネームを使い分け、精神医学や東洋思想、ビジネス、人間関係など、生涯に100冊以上の著作を残したことで知られている。

その中の1冊にあたる本書は1903年に発売されて以来、100年以上も世界中で読み継がれている古典であり、名著!
「鼻呼吸」「完全呼吸」「浄化呼吸」の3つの呼吸法に重きを置いて解説されていて、『呼吸法の極意−ゆっくり吐くこと−』に比べると読みやすいので、入門レベルの方にはこちらがお薦めだ。

このコロナ禍、どうしたって自宅で独りで過ごす時間が増えてしまいがち。
だったら一層のこと、成瀬さんの『呼吸法の極意−ゆっくり吐くこと−』を読みながら、その時間をより実りある豊かなものにしてみてはいかがだろうか。

(この記事を書いた人/丹波-浪速道

『呼吸法の極意−ゆっくり吐くこと−』
成瀬雅春著/BABジャパン
本体1,600円+税

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