17世紀のイギリスの大占星術師による名著『クリスチャン・アストロロジー』(ウィリアム・リリー著、太玄社)の翻訳を手がけ、ご自身も占い師と風水師としての顔を持つ田中要一郎さん(写真右)。
そんな田中さんが、占い界の重鎮クラスのゲストを招いてスペシャルトークするのが、この企画。
9回目のゲストは、「奇門遁甲」を中心に、四柱推命や風水など様々な中国占術の専門家として、多数のメディアでも活躍してきた黒門さん。中国占術の面白みや、知られざる開運のコツとは?
2人の占術の専門家による、ディープな世界をお届けしましょう。
占い本がきっかけでどんどん占いにのめり込む
田中 元々、占いに興味を持ったきっかけは?
黒門 子どもの頃、親父から空手を習っていました。でも、技の名前とかを教えてくれないから、本屋で『空手教室』(秋田書店)という子供向けの入門本を買ったんです。
その本を読んでいたら、巻末に『マジック入門』とか『キックボクシング入門』とかのシリーズが紹介されていて、その中に銭天牛(せんてんぎゅう)先生が執筆された『占い教室』があったんです。
それを買って読んだのが、きっかけになりました。
田中 黒門さんの世代は、銭天牛さんの本が占いのきっかけになった方が多いですよね。
黒門 それ以外のきっかけとして、子どもの頃から隣にあった本家のお寺によく出入りしていて、そこにあった開運暦を読んでいて、小学生の高学年になる頃には占いに興味を持っていましたね。
結局、僕は痛いことや辛い修行は嫌なので、武術はやめて、占いだけが最後まで残ったという感じです(笑)。
田中 なるほど。銭天牛さんの本はどんな内容だったんですか?(なんとナチュスピには『占い教室』の蔵書があり、それをお見せすると、本を手にしてパラパラめくり)確かにこれ、すごいですね!
黒門 でしょう? 今から思うと、すごくレアな占いを子供向けに紹介していたすごい本なんです。当時、小学生だった僕は、まずはこの本に載ってた姓名判断をやってみたんですが、すぐやめちゃいました。
というのも、周囲にたまたま同姓の人が多くて、同姓同名の女性も2人いて。それぞれまったく性格とかが違っていたから「全然当たってねえじゃん」って思って。
そうしていたら、あるとき、友人が「四柱推命」の本を買って来たんです。
田中 誰の本でしたか?
黒門 新章文子さんの『四柱推命入門 生年月日時が証すあなたの運命』(青春出版社)でした。そこから調べた僕の運勢は「非業の死を遂げる」みたいな内容だったんです。
今思えば、中国の占いの原書なんて、もっとひどいじゃないですか。「蛇にかまれて死ぬ」とか、普通に書いてあるんですよね。
田中 「虎に襲われる」とかありますもんね(笑)。
黒門 日本は表現がまだ柔らかいものの、「非業の死、これはヤバい!」って思って。それが、さらに占いにのめり込むきっかけになりましたね。
悪い未来の運命を改善するための開運法を探求
田中 「奇門遁甲」に興味を持ったのもそのあたりから?
黒門 そうですね。昔、『少年画報』と『ぼくら』という少年雑誌があったんです。その付録に、「妖術大百科」という小冊子がついていました。
そこには妖術の系譜として、バラモン教、道教、真言密教などの他に、「八門遁甲」が紹介されてたんです。でも、「八門遁甲」だけが、どういうものなのかがよくわからなくて。
中学3年の時、田口真堂先生が『奇門遁甲入門』(青春出版)を書かれたのでそれを読み、「ああ、これは開運系なんだ、さっそく使ってみたい」と思ったわけです。
田中 「非業の死を遂げる」運命をなんとかしようと?
黒門 そうです。他にも阪香李さんの『中国星占い入門』という紫微斗数の本を読んだら、僕は「将来、気が狂う」みたいなことが書いてあったんですよ(笑)。
田中 とんでもないことが書いてありましたね(笑)。
黒門 そうそう(笑)。「これ、ヤバいじゃん!」と思い、それ以来、15歳のときから「奇門遁甲」にのめり込んでいきました。
僕は、「運の悪いのをどう改善していくか」が今も活動テーマのメインなんです。
だから、正確には僕は占い師じゃないんです。当てることにはあまり興味がないし、完璧に「改善系」です。
改善するためには別に占いにこだわる必要もないから、催眠療法を教えたり、人相を整えて小顔にしたり、姿勢を修正する施術やチャクラ調整も行っています。
全ては運命を改善するためです。だから、占術というよりも、僕の場合は「開運術」と言った方が正しいですね。
でも開運術を処方するためには、その前提として診断が必要で、それが占いなんです。診断した結果、処方が風水だったり、奇門遁甲だったり。僕の場合、占いはそういう位置づけですね。
田中 やっぱり、診断は必要なんですよね?