17世紀のイギリスの大占星術師による名著『クリスチャン・アストロロジー』(ウィリアム・リリー著、太玄社)の翻訳を手がけ、ご自身も占い師と風水師としての顔を持つ田中要一郎さん(写真右)。
そんな田中さんが、占い界の重鎮クラスのゲストを招いてスペシャルトークするのが、この企画。
2回目のゲストは、人相学と易学を極め、田中さんも学んだ時がある天道春樹さん。「運命鑑定」「占い教室」の活動で、地元高知と主要都市とを行き来されています。
「戦後の占い史で、本にも載っていないような貴重なお話しが聞けるはずです」と田中さん。2人の占術の専門家による、ディープな世界をお届けしましょう。
やる気を買われて特別に教わる関係に
田中 普段は、どこで活動されていますか?
天道 高知、東京、大阪です。かつて街頭で40年間鑑定してきましたが、今では東京と大阪を一週間単位で廻って易や人相で鑑定したり、そこで教室を持ったり、頼まれたら執筆もしています。
この歳になると故郷の空気の方が落ち着くので、自宅のある高知県で、1ヵ月に2週間だけ鑑定をしています。
田中 僕と天道先生はすごくご縁があるんです。僕は2008年から占いの勉強を本格的に始めましたが、最初は人相や手相から取り組みました。ある時、テレビに出演することになって「もっと勉強しなきゃいけない」と思い、ネットで調べるうちに、天道先生のことを知ったんです。
先生の書籍の『人相術講座』が評判だったので、入手しようとしたら品切れでした。そこで、「『人相術講座』はありませんか?」と先生にメールを送ったら、直接ご本人から電話がかかってきて(笑)。
「あなた、勉強してるんですか? 一度、会いに来なさい」と言われて、当時、天道先生が東京で講座を開催し始めた頃で、都内でお会いすることになったんです。
それ以来、親しくさせていただいています。僕の場合、先生にしては珍しく、1対1のプライベートで特別に教えていただきました。
天道 そうでしたね。通常は1対1で教えたりしませんが、田中さんにやる気がありましたので。
街頭易者との出会いで占い師を目指す
田中 先生は、占いはいつから始められましたか?
天道 高校生の時に、同級生が手相の本を見せてくれたんです。大和田斎眼先生の『手相の見方を本で覚えたい人に』でした。それを借りて読んだら、その日からハマりました。
田中 じゃあ、同級生とか占っていたんですか?
天道 はい。当時、街頭にものすごく当てる先生がいまして、私は毎日、講釈を聞きに行っていたんです。「田舎でも、こんなに読み取ることができる人がいる」と知り、「自分は将来、街頭易者になる」と決めていました。
当時、街に街頭易者が4〜5人はいましたが、今ではあまり見かけなくなりましたね。
田中 同級生を鑑定して、当たりましたか?
天道 私が占いをやっているのを知って、放課後、毎日のように女の子たちが来ましたね。その子に対し、見た目通りのことを言ってたから、当たりました(笑)。
また、たくさんの本を読みました。昔は、手相や人相など、占いの本が古本屋にもたくさんありましたから。手相を覚えたら、すぐに人相の本に移りましたね。その他に、易や姓名判断、九星なども。
田中 その中でも、やはり人相が一番しっくりきたんですか?
天道 そうですね。でも、難しかったです。特に、人相の「気色(きしょく)」を把握するのが。
気色や顔つきに現れる「人生の予兆」
田中 「気色」について書いてある本は、そんなにないですよね?
天道 昔は、林文嶺(はやしぶんりょう)先生や、水野南北先生とかが書かれていました。でも、南北先生の本は難しくて、「気色」を覚えようにも、なかなかわからなかったです。
手相の気色に関してですが、大和田和代先生によると、点滅する気色を持つ人が時々あると。
手のひらに、ある色がフーッと現れたり消えたりをゆっくり繰り返して、まるで呼吸するかのようにみえます。これは、24時間から10時間の間に「急変」が起こるサイン。
人相でも、たまにこの現象が起きている人がいます。1〜5分くらい現れて、消えて、しばらくするとまた現れるんです。この急変が現れるのは、例えば、株であれば急落する前兆とかね。損をしないようにしないとね。明るい気色であれば吉兆です。
田中 そなるほど。シグナルというわけですね。
天道 点滅するなんて、怖いよね(笑)。横断歩道の信号の点滅じゃないけど、そういうお知らせを、人相で読み取るわけです。
田中 時代劇とかで、「あんた、水難の相が出てるね」とかもありますよね。