重度の脳障害により、肢体が不自由になりながらも、リハビリによって意思疎通が可能になり、その突出した表現力で「奇跡の詩人」と呼ばれた、日木流奈さん。
今年2月で31歳になった流奈さんは、相変わらずの研ぎ澄まされた感性で、どんな質問にも瞬時に理路整然と答えられる賢者ぶり。そのインタビューの模様を、数回に分けてお届けしましょう。
※このインタビューは、昨年11月末に行いました。意志疎通の方法として、文字盤を指し示す流奈さんの指先の微妙な動きをお母さまが読み取って、示された言葉を口にする形で伝えてくださいました。
流奈さんからのメッセージ
──2020年末は、「土の時代」から「風の時代」に切り替わるという、天体の大イベントが注目されました。
2021年は、どのような年になっていくと思われますか?
そういうこと、毎年言ってない?
だって、(精神世界に詳しい人たちから)しょっちゅう聞くよ、
「今、時代の変わり目らしい」って。
私にはわからないというのが、本当のところです。
そこは専門家に任せます。
変わるのは、あたり前です。
コーヒーにミルクを入れて、混ぜる。
ちと混ぜる。
変わるよね、動き。
宇宙の動きも、おんなじ。
宇宙というカップを、神様がちと混ぜたら世界は動く。
そんな感じだよ、きっと。
それで、事が起きるのよ、何でもね。
変化を加えれば、物事は動く。
それが人の心であってほしいと、私は願っている。
神様が、もし大きな存在であるならば
人の心にも、その神様はいる。
だから、何が起きても大丈夫な人々が
この世に増えることで、宇宙は動く。
私の中では、それが真実。
あのね、強いて言えば、人々の絶対数が増えて
次の段階に行く準備ができるんじゃないかな、とは思う。
全員じゃなくていい。
変革には絶対数がいるけど、
全員じゃなくても、引き上げることはできる。
それが起きるっていうんだったら、私は納得するけど。
私には本当にわからない話なので、
専門家さん、ヨロシクです。
──2020年は、コロナ禍をきっかけに目覚めた人が世界的に増えたため、一部で「目覚めの年」と言われたようです。
今までにない、特殊な年だったのではないかと思いますが。
実感してます?
(外側から取り入れた)知識ではなく
自分自身や周りの人たちが
そうなっていると、実感してますか?
──目覚めが起きたのは、ごく一部の人だけでしょうね。
一部の人たちで充分です。
全員じゃなくて。
でもね、どうせなら「当事者」になりたくない?
ふふっ。
私は、当事者のほうが楽しいと思うから、
人々に伝えていくだけなんですよ。
やっぱり私の中で、「楽しい」は絶対だな。
基準は、「楽しい」「楽」。
「愛」も入れとこう。
──当事者というのは、何の当事者なんですか?
目覚める当事者。
ふふふふっ。
──カッコイイですね。
カッコイイ、か・・・。
私、かわいい(時期)は過ぎたな。
もう、30歳だし。
お母さま:まだ、かわいらしさにこだわってるの? もう、かわいいはやめとこうよ(笑)。
かわいいは重要だもん。
皆さん、楽しいでしょ、
こういったことを、いろいろ伝えていくのって。
今井さん、今、なんだかウキウキしてるでしょう?
今井:楽しいです(笑)。
まあ、目覚めると言うと大袈裟だけど、
たいしたことないのよ。
いろんなことに気づいて、楽チンになるだけ。
だから、事は起きてくれているのよ。
そして、その人に合った事が起きるように
物事はできているだけ。
意味なんか持たせても、意味無いし。
まあ、持たせて、学んでくれてもいいんだけど。
──絶対数が増えれば変わると、さっきおっしゃいましたが、その数というのは、目覚める人の数ですか?
それ、それ。
今までも起きてはいる、何度もね。
でも、どんどん質が上がっていると思うよ。
実感、有りませんか? 無い?
私なんて知り合い少ないけど、
周りのみんな、どんどん研ぎ澄まされて、
私の楽チン度、増えたよ。
特別な人が特別なことをするのではなく、
誰もが、心の宇宙とつながることが大切なのよ。
心の宇宙というのは、
単に「心の中」だと思って。
要は、人々の心の中や意識が変わると、
連動して外側の宇宙も変わってしまう、という意味なんです。
だから、「心の宇宙」という言い方をしているだけです。
脳障害という意味では、健常の人とは違うかな、私。
発作持ちだし、
呼吸苦しいと「死ぬかも」と思うし。
だから、生きている有り難さは格別だよ。
だから、楽しむんだよ。
この世にせっかく生まれたんだから、
ただ生きていても、もったいないもん。
私の人生の指針は、「楽」に尽きるね。
(この記事を書いた人/Y-MAYUMI)
過去記事はこちら
https://starpeople.jp/seijingoroku/hikiruna/20190723/5042/
日木流奈
ひきるな/1990年2月11日、横浜市に生まれる。極小未熟児(1480グラム)、先天性腹壁破裂の状態だった。直後の三度の手術のストレスにより脳にたまった水が脳を圧迫し、脳障害となる。新生児けいれん、点頭癲癇の発作が出る。1991年、抗けいれん剤の副作用で白内障となり、両眼の水晶体を摘出。1992年、ドーマン法のプログラムを開始する。1994年、グレン・ドーマン博士の人間能力開発研究所の診察を受ける。1995年、文字盤によるFC(ファシリテイテッド・コミュニケーション)で、他者との意志の疎通が可能となる。1998年、自伝・詩集を手作り本『想ふ月』を自費出版。著書はほかにも『月のメッセージ』(大和出版)など。
『伝わるのは愛しかないから』
日木流奈著/ナチュラルスピリット