こんにちは、人相見のいくらです。
「仏像」とは、仏の姿を表現した像であり、日本人にとっては崇敬の対象とされてきました。
皆さんも一度はお寺や美術館などでご覧になったことがあると思いますが、どのようなお顔立ちやお姿をしていたか思い出せますか?
なぜ、人は仏像に惹かれるのでしょう?
人相的に見ても、仏像の顔や表情は独特な特徴があります。今回は、その特徴について紹介します。
イラストは私が描きました。

仏像の表情あれこれ

仏像にも様々な種類があり、顔や表情も特徴的です。
主に、額にホクロのようなものが存在し、耳が長い、面長の顔が多いなど。表情としては、慈愛、怒り、感情を見せない無表情さなど、さまざまです。

1 仏頂面

いつも無愛想で、何をするにも面白くなさそうで不機嫌な表情をしている人の顔を「仏頂面(ぶっちょうづら)」と言うことがあります。
こういう顔を仏様の顔に例えるのは不謹慎に思われるかもしれませんが、これは仏様ならではの表情なのです。

かつて、お釈迦様は深い禅定(ぜんじょう:心を鎮めて、一つの対象に集中する瞑想状態。またその心のさま)により、悟りを開きました。
禅定の際は、喜怒哀楽の一切の感情にとらわれないことが基本なので、その時の無表情ぶりが仏様特有の顔として、「仏頂面」と呼ばれるようになったのです。

2 慈悲相

救いを求める人々を助けようとする、慈愛と哀れみが入り交じった目です。大体の仏像は、この表情をしています。
眼差しに、慈愛の心を感じられる「慈眼(じげん)」であることが特徴です。

3 忿怒相(ふんぬそう)

仏の教えを聞かず、邪(よこしま)な道へ進もうとする人々を怒りの表情で正道に導くことから、「忿怒相」と呼ばれています。
不動明王などに見られる姿で、次のような特徴があります。

焰髪(えんぱつ)
怒りのために髪を逆立てていて、その髪型を「怒髪(どはつ)」とも言います。「怒髪天を衝く」という言葉もあります。

天地眼
不動明王の眼の特徴です。右目は天を向き、左目は地を向いています。様々な場所に睨みを利かせています。

仏の三十二相八十種好

インド仏教の百科事典的存在である書物『大智度論』では、仏の優れた身体的特徴を「仏の三十二相八十種好」と呼んでいます。
ここでは、特に顔の特徴について挙げられたものをご紹介します。

『三十二相』から
22:四十歯相(しじゅうしそう)/歯が四十本ある。通常32本。
23:歯斉相(しせいそう)/歯の大きさが同じで、歯並びが良い。歯が白く揃っている。
24:牙白相(げびゃくそう)/40本の歯の他に、白く鋭利な歯を持つ。
25:獅子頬相(ししきょうそう)/頬の肉が豊かで獅子のようである。
26:味中得上味相(みちゅうとくじょうみそう)/どんなものでも最上の味を味わうことができる。
27:大舌相(だいぜつそう)/舌が大きく柔軟で、髪の生え際に伸びる程である。舌が口の中でいっぱいになることはない。
28:梵声相(ぼんじょうそう)/清浄な声をしている。
29:真青眼相(しんしょうげんそう)/瞳が青蓮華のようである。
30:眼睫如牛王相(がんしょうにょぎゅうおうそう)/まつげが牛王のように長くて美しい。
31:頂髻相(ちょうけいそう)/頭の上が髪の毛を束ねたように盛上がっている。肉髻のこと。
32:白毫相(びゃくごうそう)/眉間にある白い毛が右回りに渦になっている。

『八十種好』から
2:鼻が真っ直ぐで高くて形がよく、鼻孔を確かめることが出来ない。
3:眉が新月のようであり、瑠璃色をしている。
4:耳たぶが大きく垂れている。
26:顔が大きすぎることも長すぎることもない。
27:容貌全体が整っており、肌の色は鮮やかである。
28:顔が美しく整っている。
29:唇が赤く相思樹の果実の理路のようである。
30:声の響きが深く朗々としている。
39:顔が広く優美である。
40:顔が清らかさに満ちており、月のようである。
42:毛孔(けあな)からかぐわしい香りを放つ。
43:口の中から香気を放つ。
47:頭の形は檳椰子(びんろうじ)に似た、すいかのようである。
48:高い声も低い声も、全て明朗である。
49:鋭い四本の犬歯を持つ。
50:舌の色が赤い。
51:やわらかい舌を持つ。
52:毛髪が紅色である。
53:毛髪が清浄である。
54:広くて長い目を持つ。
55:九孔(両目、両耳、鼻、口など)に病なく、清潔である。
76:毛髪が長く美しい。
77:毛髪が乱れていない。
78:毛髪が右巻きで美しい。
79:毛髪の色が美しく、青い真珠のようである。

こうして挙げてみると、『八十種好』の方が、良い人相の特徴に当てはまるものが多いです。『三十二相』は、人を超越している仏の相と言えます。

なぜ、アルカイックスマイルなのか?

仏像の表情の特徴として、口角のみをピッと上げた“かすかな微笑”があります。
これはしばしば、「アルカイックスマイル(古拙の微笑)」と呼ばれます。アルカイックとは、ギリシャ語の造語で「最初・第一の」という意味があります。

日本の歴史の初頭である、飛鳥時代から作られ始めた仏像と、ギリシャのアルカイック期に作られた彫刻に、似たような微笑の特徴があることから、アルカイックスマイルと言われ始めたようです。

では、なぜ仏様は笑みを浮かべているのでしょうか? これについては『大智度論』に、次のように記されています。

問:仏は尊く偉大な存在なのになぜ笑うのか?

答:仏(釈迦)は与え、また、受け取ることが困難な、清浄にして虚空のような「般若波羅蜜」(悟りに至るための無情の智慧)を一切衆生に信じ受け取らせようと、その心を柔軟にし、適応力を高めるために笑うのである。

仏様の笑みは、衆生(しゅじょう:一切の生きるもの全て)を解脱(煩悩や束縛から解放されて自由になること)させるための説法を行うにあたり、その至難な場に挑む際に、心を柔軟にするために笑みを浮かべる、とのことです。

人は困難に直面すると、そのどうにもならなさに、笑うしかない、ということがありますが、それに似ています。

***
いかがでしたか?
仏像に見る良い表情の特徴は、人相の古典と共通する点がいくつも見られ、やはり顔による開運は仏道にも通じるものがあるようです。
仏像が醸し出す和の造形美をあらためて見直すことで、日常をより良くするヒントが得られるかもしれません。

 

いくら
人相研究・占術家。セツモードセミナー修了。顔学会会員。観相術(人相・手相など)四柱推命を主に扱う。喫茶店やファミレスなどで対面鑑定を行う傍ら、セミナー講師、Web・雑誌の記事の執筆・監修など、多岐に渡り活動している。

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