こんにちは、人相見のいくらです。
日本の神社は「除災招福」「家族繁栄」「学業成就」など、様々なご利益を授けてくれます。中には「顔に関する病気を治す」「美容面で美しさが増す」など、顔に関してご利益のあるものも。
人相を長年探究する私にとって、顔は外せないテーマです。今回も、「江島神社」についてお届けしましょう。

仏教と融合することで生きながらえた由緒ある神社

前回、江島神社の御由緒や境内の様子をご紹介した際、「神社なのに、どうして仏様である弁財天が鎮座しているのか?」という点に言及しました。

このことについて、今回は、「神仏習合」「神仏分離」という点からご説明します。

奈良時代までは神仏が同等の「神仏習合」(※)
様々な宗教の神々や教義などの一部が、混同、あるいは同一視されることを言います。
日本に仏教が伝来した頃、元々の日本の神を信じる人と仏教を信じる人とで、争いがありました。それを防ぐため、両者を共存させることにより、一つの宗教観を作り出したのです。
神仏混淆(しんぶつこんこう)とも言う。

 

平安時代は仏様が主、神様が「従」に
当初は、日本の神が仏教に帰依(きえ:優れたものを頼みとして、その力にすがること)する形を取りましたが、平安時代になると「本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)」が唱えられるようになりました。
これは、仏様が「主」で、神様が「従」という考え方で、仏様の方が立場が上であることを明確にしました。この考え方は、明治時代になるまで続きます。
ちなみに、「弁財天」は仏教要素が強いので、仏様という位置づけになります。

 

明治時代は「神仏分離令」で仏教を排除
明治時代に入ると、幕府が朝廷に政権を返還する「大政奉還」が行われ、天皇が再び政権を握り、それまでの幕府政治が払拭されて天皇を拝する政治になり、状況が一変しました。
その中で、「天皇は神の子なので、神様を崇めるべきであり、仏様と一緒に信仰するのは不純である」という考えのもと、神仏習合から一転、仏像を神社で飾ることを禁止し、神社と寺社の境界を明確にする命令が出ました。
それまでの「仏が主で神が従」という力関係も逆転し、仏教を排斥する「廃仏毀釈」(はいぶつきしゃく)が一気に進みます。

仏像や経典が破壊され、僧籍のある人々が迫害されるようになり、一部の神社はそれを逃れるために、それまで信仰していた仏様に習合されていた神様を祀り、寺から神社に鞍替えすることで、その難を逃れました
その一つが、渋谷区原宿にある「穏田神社」です。

江島神社もそれに習い、それまで「弁財天」を主に祀っていましたが、「弁財天」と「宗像三女神」が同一視されていることから、「宗像三女神」を主に祀ることになったのです。

 

須佐之男命の息から誕生した「宗像三女神」
「宗像三女神」の誕生については「古事記」によると、天照大神と須佐之男命が誓約(うけい:ご神意を占うこと)をした時に生まれた、須佐之男命の子であるとされています。

天照大神は、自分が住んでいる高天原(たかまのはら*1に、葦原中国あしはらのなかつくに*2から、須佐之男命が侵攻してくることを警戒していました。
そのため、須佐之男命は天照大神の誤解を解くため、誓約をしたとされています。
*1/「古事記」に出てくる天上世界の総称。天照大神が統治している。
*2/高天原の下にあり、国つ神と人間が住んでいるとされる。

その内容とは、互いの持ち物から神を作ることです。
須佐之男命が所持していた剣(十拳剣:とつかのつるぎ)を受け取ると、それを三つに折って、天真名井(あめのまない)の清冽な水をふりそそぎ、口に含むとそれを噛み砕き、ふっと吹き出しました。
すると、口から漏れた息が霧となり、そこから「三柱の女神」が誕生したのです。このうちの「市寸島比賣命」が「弁財天」と同一視されています。

 

江島弁財天が祀られているお堂。

 

江島神社に祀られている「弁財天」の特徴の違い

市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと:市杵島比賣命とも書く) 

中津宮の女神です。「神に斎く(いつく*3)島の女性」というのが、名前の由来とされます。
*3/斎くとは、汚れを除き、心身を清めて神に仕え、大切に祭っていること。
市杵島とは、「神霊を斎き祀る島」という意味です。
「市杵島比賣命」は、海神・水神として、各地の湖などの水辺に勧請(かんじょう:神仏の分身を迎え入れること)されてきました。美の神とも言われています。

 

サラスヴァティー(Sarasvati)

「弁財天」の元となるヒンズー教の女神です。「サラス(Saras)」とは湖、池、貯水池(水)などの意味で、「ヴァット(Vat)」は有するという意味。
湖(水)を有する女性を意味し、河の神として崇められていました。
また、水の流れる音が弁舌や音色を連想させることから、音楽や芸能を司る神とされてきました。

サラスヴァティーという名は、インドに流れる美しい河の名前であったとも言われています。
創造神である梵天(ぼんてん。ブラフマーとも言う)が、水(無垢な原質)からこの女神を作り出しました。
その後、『リグ・ヴェーダ』という書物では、言語・弁舌の女神「ヴァーチュ」と結びつき、学問の神としても信仰されるようになったのです。

特徴として、アヒルの乗り物(ヴァーハナ)に乗り、四臂(腕が四本)で、そのうちの2本はヴィーナという楽器を、残りの2本は数珠と本を持っています。

 

八臂弁財天

「弁財天」のことが詳しく書かれているのが、最古の経典『金光明最勝王経』です。
そこには、このように書かれています。
弁財天は八臂(腕が八本)で、それぞれの手には、弓、矢、刀、矛、斧、長矛、鉄輪、羂索(けんさく*4)の武器を持つ戦いの仏
*4/鳥獣を捕まえる罠。衆生を救う働きの象徴。

 

妙音弁財天(裸弁財天)

乳白色の肌で、左手に琵琶を持ち、右手で弾いている妖艶な姿の弁財天。歌舞伎役者や芸能関係者から信仰されてきました。
世間一般に知れ渡っている弁財天は、こちらではないでしょうか?
その後、七福神に加わり、七福神唯一の女性の神ということで、音楽や学問、そして美の象徴ともされるようになりました。

***
いかがでしたか?
また折を見て、美や顔にまつわる情報をご紹介します。

 


今回、ご紹介したのは・・・
江島神社
ご利益/航海安全・交通安全・商売繁昌財運芸道上達美容

●御祭神
奥(沖)津宮(おくつみや)/多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)
中津宮(なかつみや)/市杵島比賣命(いちきしまひめのみこと)
奥津宮(おくつみや)/田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)
岩屋/天照皇大神・須佐之男命・江島大神

所在地:神奈川県藤沢市2-3-8
*小田急線「片瀬江ノ島」駅、江ノ島電鉄「江ノ島」駅、湘南モノレール「湘南江ノ島」駅の各駅から、徒歩15分から23分ほど


 

いくら
人相研究・占術家。セツモードセミナー修了。顔学会会員。観相術(人相・手相など)四柱推命を主に扱う。喫茶店やファミレスなどで対面鑑定を行う傍ら、セミナー講師、Web・雑誌の記事の執筆・監修など、多岐に渡り活動している。

人相見いくらの、開運「顔」ブログ
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