こんにちは、人相見のいくらです。
日本の神社は「除災招福」「家族繁栄」「学業成就」など、様々なご利益を授けてくれます。中には「顔に関する病気を治す」「美容面で美しさが増す」など、顔に関してご利益のあるものも。
人相を長年探究する私にとって、顔は外せないテーマです。今回、久しぶりに「美」に関するご利益のある寺社仏閣をリポートしてみました。
日本三大弁財天も鎮座する風光明媚な「江島神社」
今回リポートするのは、神奈川県にある「江島神社」です。江島は相模湾に面している小さな島で、風光明媚で美しい絵のようなことから、江戸時代には「絵の島」とも呼ばれていたそうです。
遥か昔、欽明天皇の時代に勅命が出され、岩窟(岩壁にできた洞穴。岩屋とも言う)に宮を建てたのが始まりとされています。
「江島弁財天」としても有名で、滋賀県の竹生島、広島県の宮島と並んで、日本三大弁財天に数えられています。
なお、江島神社という名称になったのは明治時代以降であり、江戸時代までは「金亀山予願寺」と呼ばれていました。
以下ご紹介する内容の中には、諸説含まれる事柄もあります。
「江島神社」の御縁起
江島神社が始まったのは、まだ年号がない飛鳥時代あたり。欽明天皇になって13年目(552年)とされます。欽明天皇は第二十九代天皇で、子どもにはのちの推古天皇がいます。
少しさかのぼって、538年に日本に仏教が公伝されました(*)。百済の聖明王が、当時の大和朝廷に金の釈迦仏像をプレゼントしたのです。ここから、日本に仏教が根ざし始めます。
*仏教公伝:国家間の公的な交渉として仏教が伝えられること。それ以前は私的に信仰されていたこともあるが、正式に伝えられたのは、この年。
弁財天と五頭龍大神の物語
その昔、江ノ島には頭が五つある五頭龍大神(ごずりゅうおおかみ)という龍神が住んでいました。この龍神は人間を食べたり、悪行を働いたりして、人々を困らせていました。
そんなある日、江ノ島に15人の童子を引き連れ、弁財天が降臨しました。
龍神は弁財天のあまりの美しさに一目惚れし、求婚を迫りますが、「悪行を重ねる龍神とは結婚しない」と求婚を断られたため、「悪行はもうやめる」と龍神が約束し、晴れて結婚することになったのです。その後、弁財天は江ノ島を治め、五頭龍大神は、鎌倉市腰越にある龍口明神社(りゅうこうみょうじんじゃ)のご神体となりました。
江島神社の弁財天と龍口明神社の龍神は夫婦なので、両神社を合わせて「夫婦神社」と呼ばれています。良縁を祈願する時は、この二つの神社を参詣すると御利益が増すそうです。
御祭神は「三女神」と天照皇大神など
江島神社は、「辺津宮(へつみや)」「中津宮(なかつみや)」「奥津宮(おくつみや)」の三つの宮から構成され、天照大神が須佐之男命と誓約(*)をされた時に生まれた「三女神」を祭神としています。
その中の一柱の神様が 弁財天と同一視(神仏習合)されています。
*うけい/神意を占う方法。ある事柄について、あらかじめ決めごとを宣言して、起きた結果で占う。
この三宮の他に、島の奥には海に面して岩窟があり、そこは「江島神社発祥の地」とされる神社や、弁財天様をはじめとする数々の石像が祀られています。
御祭神
●辺津宮(へつみや)/多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)
●中津宮(なかつみや)/市杵島比賣命(いちきしまひめのみこと)
●奥津宮(おくつみや)/田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)●岩屋/天照皇大神・須佐之男命・江島大神
三つの神社からなる広大な境内の様子
江島神社の入口にある鮮やかな朱色をした鳥居「朱の鳥居」をくぐると、すぐ見えるのが「瑞心門(ずいしんもん)」という神門です。
心身ともに瑞々しく清らかな状態になってから参詣(さんけい:神社・寺へのお参り)する、という意味が込められているようです。
「朱の鳥居」をくぐると・・・。
神門である「瑞心門(ずいしんもん)」をさらにくぐります。
瑞心門を通り抜けた目の前には、童子たちを連れた弁才天の像が出迎えてくれます。これは、弁才天様が龍神の前に現れた時の様子をイメージしたものです。
神々しい雰囲気に、なんとも有り難い気持ちになります。
辺津宮 御祭神/田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)
辺津宮、および中津宮、奥津宮の「津」は水という意味の他に、「渡し場」「船着き場」の意味があります。
辺津宮は江島神社全体で、水辺に一番近い場所に建てられている宮なので、「辺津宮」と呼ばれるそうです。
社殿の隣にあるのが「奉安殿」で、法隆寺の八角堂を模したとされます。そこに祀られている御尊像は、「八臂弁財天」「妙音弁財天」です。
「八臂弁財天」の「臂」とは、腕(肘)のこと。戦いの神であるため、八本の腕にはそれぞれ弓矢や剣などの武器を持っています。過去にご紹介した神社仏閣の中の「蟠龍寺」にも、安置されています。
八臂弁財天像の左隣にあるのは「妙音弁財天像」で、俗に「裸弁財天」とも呼ばれ、琵琶を携えて座っています。音楽と芸術を司るとされています。
中津宮 御祭神/市杵島比賣命(いちきしまひめのみこと)
「辺津宮」を後にして、先を進んで行くと見える二番目の宮です。
もともと信仰されていた弁財天は、市寸島比賣命と同一視され、芸能の神とされていたため、江戸時代にはたくさんの芸能関係者が参詣に訪れたそうです。
「中津宮」のシンボルマーク。
綺麗になりたい女性たちに向けて作られた「中津宮」の独自のマークは、弁天様の羽衣をイメージ。
また、御祭神の市寸島比賣命は「美」を司ることから、ここでは美に関するあらゆるお守りが授与されています。
社殿脇には、龍の口から水が湧き出る「水琴窟(すいきんくつ)」があります。
これは日本庭園の装飾の一つで、水鉢の水を地中に埋めた瓶の空間へ雫として流すと、琴の音に似た反響音が聞こえるというものです。弁財天が水や音を司ることから作られたと思われます。
「覚醒」「運気上昇」「マイナス要素を除く」など、興味深い効果が。
奥津宮 御祭神/多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)
「辺津宮」「中津宮」と続き、三つ目の宮が「奥津宮」。奥行のある、風情ある境内が印象的です。
「奥津宮」の本殿前では、開運招福におかげがあるという、こんな大きなしゃもじがお出迎え。
「奥津宮」の隣には、「龍宮(わだつみのみや)」があり、素朴な岩屋に迫力のある龍神が祀られています。
「奥津宮」から海の方へ歩いて行くと、「江島神社の発祥地とされている岩窟」があります。こちらには弁財天をはじめ、様々な神様の石像群を祀った「江島神社発祥の地とよばれる神社」があります。そこから、全てが始まったのです。
おまけ:江ノ島海岸の初日の出
江ノ島海岸で撮影された2016年の初日の出。江ノ島は元日、初日の出を見るために、特別列車が出るほど人気のスポットです。初日の出は、その年の歳神様が福を授けに来るとされています。
2022年は、コロナから回復して初の元日です。初日の出を拝み、江島神社に初詣に行かれてはいかがでしょうか?
撮影:伊倉雄一
以上、江島神社の御縁起と神社境内の案内を記しました。
様々な神様の名前が出てきましたが、その中で「弁財天」は本来、仏教色が強いためにお寺に祀られることはあっても、神社の境内に祀られるのは珍しいことでした。
実はそれについては、「神仏習合」というキーワードである、明治時代に発布された「神仏分離令」が関係しています。また、「弁財天」は本来「弁才天」と呼ばれていました。「才」が「財」に変わる経緯も、神仏習合に関連しています。
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いかがでしたか?
次回は、「神仏習合」「神仏分離令」とは何か、それに伴う「宗像三女神」と「弁財天」の関係性や、江島神社が「美」を司る理由についてご紹介します。
今回、ご紹介したのは・・・
江島神社
●ご利益/航海安全・交通安全・商売繁昌・財運・芸道上達・美容
所在地:神奈川県藤沢市2-3-8
*小田急線「片瀬江ノ島」駅、江ノ島電鉄「江ノ島」駅、湘南モノレール「湘南江ノ島」駅の各駅から、徒歩15分から23分ほど。
いくら
人相研究・占術家。セツモードセミナー修了。顔学会会員。観相術(人相・手相など)四柱推命を主に扱う。喫茶店やファミレスなどで対面鑑定を行う傍ら、セミナー講師、Web・雑誌の記事の執筆・監修など、多岐に渡り活動している。
人相見いくらの、開運「顔」ブログ
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