こんにちは。医療占星術家の福本基です。
私はプライマリ・ケア医のかたわら、伝統占星術を探求し、セミナーや書籍を通して皆さんに魅力をお伝えしています。
スタートしたばかりの2022年について、どのような年になるか気になる方が多いのではないでしょうか。
伝統占星術の観点から今年を予測してみたので、心身を健やかに過ごすうえでの参考にしてください。
『基礎からわかる伝統的占星術』
福本基著/ 太玄社
2021年11月19日における「月食」から読み取る未来予測
未来に何が起こるのか?
西洋占星術を研究していれば、それを予測する誘惑に抗うことは難しいものです。
古代の人たちも、いろいろな予測法を開発しました。その中でも、トレミーの『テトラビブロス』(※1)から、日食と月食を使った方法で2022年の予測をしていきましょう。
※1/トレミー(Ptolemy)とは、古代の天文学者プトレマイオスの英語読みであり、彼が記した『テトラビブロス』は現代でも有名な占星術の教典。
今後を予想するには、直近の「日食か月食」に注目します。すると、2021年11月19日の夕方~宵にかけての「部分月食」を分析することになります。
この天体図はその時のものです。
部分月食ではあるものの、「ほぼ皆既」と言われるほどで、月の直径の97%が欠けました。また、日本の広い範囲で見られたので、日本全体がこの影響を受けるであろうと考えられます。
日本の首都は東京ですから、東京を中心に見ていきましょう。
東京の「月の出」は16時29分でした。
東北以南では、月の出より手前の時刻で月食が起きたため、月が昇ってくる時にはすでに欠けていました。この現象を「月出帯食」と呼びます。
そのため、16時19分から欠け始め、食が終わったのは19時47分でした。
月食の色が意味する「土星」に関するキーワード
月食の影響について、トレミーはまず、「食」の色に注目しています。
食の色により、影響を受ける惑星と、その惑星が関係するテーマを把握することができます。
黒または鮮やかな色:土星
白:木星
赤:火星
黄:金星
多色:水星
東京では、あいにくの曇り空でやや黒色だったので、このたびの月食は、土星の性質を持つと考えられます。
トレミーの土星に関する記述から、以下のことが考えられます。
●土星は「ゆっくり動く家畜」を支配しているため、牛肉や豚肉の不足が考えられる。
●天候に関しては、土星は恐ろしいほどの寒さ、凍結、霧、そして疫病を引き起こします。さらに、吹雪、さらにそこから人に有害な爬虫類(恐らく毒)が生まれる。
●川と海に関しては、土星は嵐、船の大破、悲惨な航海、魚の不足、そして特に海では高潮と干潮を、河では洪水とその水域の汚染を引き起こす。
●作物に関しては、土星は特に虫、洪水、集中豪雨、雹などを通じて、主食作物の不足をもたらし、飢饉と破壊を引き起こします。
最凶の恒星アルゴルによる避けられない影響
11月19日のこの日、月はおうし座にあるのが肉眼で確認でき、その左上にあるプレアデス星団(すばる)と並んでいました。
しかし、ホロスコープ上ではペルセウス座のアルゴルとともにあります。
アルゴルは、ギリシャ神話の「メデゥーサの首」とされます。海の支配神ネプチューンと恋仲で、二人の間に産まれたのが天馬ペガススです。
しかし、アテナ神殿で密会していたために怒りをかい、醜い姿に変えられました。そして、その姿を見た者を石に変えてしまう能力まで与えられました。
最期はペルセウスに寝首をかかれてしまいましたが、その血は、海の中で赤サンゴになったとも言われています。
トレミーが「ペルセウスのゴルゴン(the Gorgon of Perseus)」(※2)と呼ぶように、アルゴルは斬ることに関連する恒星です。
また、17世紀の占星術師のウィリアム・リリーによれば、「その近くに惑星があれば、その惑星は苦しむことになる」とされています。アルゴルそのものが占星術では最凶の恒星とされており、これらの情報からは、あまり良くない状況になることが予想されます。
※2/ゴルゴンとは、ペルセウスが退治した3姉妹の怪物のこと。蛇でできた髪の毛を持ち、見た者を石に変えるとされた。
「感染症」とも関係する、木星の拡散性
ホロスコープ全体を見ると、月は牡牛座のサインの端にあり、時間経過によるアスペクト(天体同士が形成する角度)やコンジャンクション(天体同士がの角度が30度以内になること)をする惑星はなく、これは「ボイド」(※3)の状態を意味します。
※3/ホロスコープ上で、惑星が次のハウスに入るまで、他の惑星と角度を形成しない時間帯。
月のコンディションにダメージを与える星には、火星があります。病気を表すハウスでもある「第6ハウス」の支配星で、そのカスプ(ホロスコープ上のハウスの境界線)にありますが、質は悪くありません。
また、アセンダントと月の両方に対して、アスペクトしているのは木星です。両者ともに、木星からの影響を受けています。
木星は雨のナチュラル・ルーラー(支配者)であり、北か、北東の風をもたらします。また、ホット(Hot:熱さ)でモイスト(Moist:潤い)な拡散性のある惑星ですから、感染症も表すことがあります。
今年起きることは、犠牲を払いながらの勝利?
占星術で読み取れるのは、現状の思考の延長線だけです。例えば、コンピューターが発明される前に、それを正確に予測できる占星術師はいません。
占星術師ができることは、世の中に何が起こっているのかを鑑みて、天体配置から読み取れることを予測することだけです。
世相から考えると、「大雪」や「新型コロナ」による社会的分断がもたらす悪影響が頭をよぎります。
今年、注目すべき星は、先ほど解説したペルセウスですが、ペルセウスは様々な困難を乗り越え、勝利を手にしました。ですから、今年起きることは犠牲を払いながらの勝利かもしれません。
月食の影響が「現れる時期」と「持続期間」
次に、いつ頃からその影響が始まるかを見てみましょう。
どの時期に起こるかは、日食及び月食がホロスコープの「どこで起こるか」が重要となります。
このホロスコープでは、月が半円の1/3(アセンダントから時計回りに60度以内)にあるので、食の影響は1~4ヵ月後に始まることが分かります。
つまり、2021年12月末~2022年3月末までに、影響が始まることになります。
次に、その影響の「持続期間」も重要です。
一般的には、「皆既食の始めから終わりまでの時間」によって計算をします。しかし、今回は、月の出からすでに欠けていました。
ここは議論の余地がありますが、今回は、「月の出の時間から皆既食の終わりまで」で計算します。
東京の月の出は16時29分で、食が終わったのは19時47分でした。
すると、食の時間の長さは3時間18分=約3.3時間となり、つまり、3.3ヵ月続くことになります。
この月食時間は、1440年以降の約600年間で最長でした。つまり、人類史上まれに見るかなりの長期間、この月食の影響を受けることになります。
まとめると、このようになります。
●日本では、2021年12月末~2022年3月末までに、食の影響が始まる。
●その影響は、2022年4月初旬~7月初旬まで続く。
●次の月食は、2022年11月8日のため、今年に影響を与えるのは「昨年の食だけ」になる。
月食の悪影響を抑えるための対策
では、この月食の影響を、どのように抑えていけばよいでしょうか?
木星をメインに据えるなら、土星の力を使用するのが良いでしょう。その理由は、強い「エッセンシャル・ディグニティ」(※4)を持ち、木星を自身のサインで迎えているからです。
「土星的なもの」は様々ありますが、次のようなものが好ましいです。
※4/その惑星が持つプラスの特徴。
《行動》
●適度な運動をする。
●食事量を抑える。
●社会活動を控える。
●心を落ち着かせる。
●より多くの休息を取る。
●ガーデニングなどの実用的な活動をする。
●ドライサウナで汗をかき、余分な水分を出す。
《色彩》
●暗い色を取り入れる。
※暗い色には、自然や大地と直接触れ合うがごとくの効果があり、散漫になりがちな心を鎮めます。
《心の持ち方》
●せかせかしない。
●熱中しすぎない。
●節度を持つ。
●節酒する。
●一人でいる時間を楽しむ。
《持ち物など》
アルゴルの属性を持つものとして、以下があげられます。
●クリスマス・ローズ(黒)/毒性がありますが、戦争やアレキサンダー大王の死にも関連したと言われており、栽培を楽しむと良いでしょう。
●ダイヤモンド/できれば肌に触れるように身に着けると効果的です。
●よもぎ/お団子などもありますが、最近では草木染めの衣類がありますから、試してみるのもいいですね。
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たとえ、良くないことがあっても、その後には良いことが起こるものですし、抵抗力もつきます。
恐れず、あなどらず、皆さま良いお年をお過ごしください!
福本基
ふくもともとい/医療占星術家。医学博士。1979年、東京生まれの京都育ち。信州大学医学部医学科卒。東北大学医学部博士課程修了。精神保健指定医。日本抗加齢医学会専門医。プライマリ・ケア医として勤務中。伝統的占星術による「医療占星術」を専門にしている。
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