何とも心がワクワクする本でした。パートナーシップに関してのHow to本ですが、パートナー関係は(夫婦はもちろん、同性カップルも)関係が深くなればなるほど、双方の我が出て良好な関係を維持するのに困難を覚え、それを放置し難しくなっていくというのが世の常です。
でも、この本ではそれを根本からくつがえす考え方や、くつがえし方が語られ、それが非常に心地よいのです。
古いパートナーも新しいパートナーもソウルメイト
本書『愛と魂の法則』(錦織新著/光文社)は、今、恋愛に悩んでいる人、夫婦関係が重荷で仕方ない人など、パートナーシップに苦しんでいる人にはよい清涼剤になるでしょう。
でも、相手を愛するなんて自分には無理だと思う人は、いったんすべての心配をわきへ置き、心の中に他のことを少しだけでも考えられる隙間を作って読んでみると、わずかずつでも心地よさがしみわたっていくかもしれません。
そしてもう一点。
スピリチュアル系の人がパートナーシップを語るとき、「ソウルメイト」に重きを置くあまり、古いパートナーから新しいパートナーへの移行を陰に陽に勧めます。
それはそれでよいのですが、新しいパートナーとの関係性ばかりを強調されることには少々辟易し、どうしてもただの一人よがりという片手落ち感が否めませんでした。
しかし、この本はそれをも払拭してくれました。要は、古いパートナーも新しいパートナーもソウルメイトだということです。
大切なのは幸せにしてもらおうと思わないこと
さて、内容を少しご紹介しましょう。
パートナーには自分を全面的に受け入れてほしい、または自分のできないところを補ってほしい等々の願いを持つものです。恋愛期間中であれば、お互いそれも可愛く見えますが、その時期を過ぎると重荷になります。
しかしこれら相手に対する願いは、よくよく考えるとすべて自分の欠乏感からくると言います。そしてその願いが強ければ強いほど、執着心も強くなります。
そこで著者はまず、自分の自我との向き合い方として「セルフ・パートナーシップの結び方」を伝授します。
ポイントはまず、「相手に幸せにしてもらおうと思わない。自分は自分だけで幸せになれる」と思えるようになる、ということだそうです。
しかしこれでは、「ならば、なぜ二人で一緒にいる必要があるのか?」と思いますが、そう考える人は心の中で「一人は寂しい、幸せじゃない」と考えているからだというのです。
一人では幸せになれない、もしくは、二人なら幸せになれると考えるがゆえに相手を求めているのだと。
この思いがあるうちは、執着の世界から抜け出せなくなります。しかし自分が幸せの源泉であり、愛や豊かさの源になれると思えると、だんだんと自立していき、それが同時に自分を愛することへとつながっていきます。
そして、そのようなエネルギーに満ち溢れるようになると言うのです。そのためのワークも紹介してくれています。
自分を癒して自己批判をやめる、そして無用なルールを捨て去れるようにする、と同時に、パートナーシップには「ただしさ」を持ち込むのではなく「たのしさ」を持ち込むようにするとは、なるほどなあと思いました。
自立した二人が弱さを見せ合えるのが最高の関係
どこか問題のある人ばかりを好きになる、嫌いな両親に似た人ばかりが寄ってくる、そういう人とパートナーシップを結んでしまうことは結構あることですが、それは幼い頃、親から受けた心の痛みを無意識に癒したいという心の発露だそうで、こう分析します。
深いところで親と似た人をパートナーとして選び、愛し愛されようとしたりします。パートナーの愛を獲得することで、親から満たされなかった気持ちを癒そうとしているのです。
ですので、どこかのタイミングで癒されないと、心の痛みが延々と続いてしまうわけです。
自分を見つめ直すのに、パートナーを用いるのは一石二鳥かもしれません。しかし現実は、言葉ほどに単純なものではありません。
でも、そう思えることがまずは大事で、それは「別れるな」ということでもないのです。その判断の仕方も提案しています。
実際、著者は古いパートナーと新しいパートナーとの両方の経験を書き記しています。
著者は最後に、“自立した二人が弱さを見せ合える関係が最高の関係”だと言います。
そのような関係がまさしく個人レベルでの男性性と女性性のバランス、そしてパートナーレベルでの統合だとし、その道筋を自身の経験を含めて提示しています。
どうですか、なんとなくワクワクしませんか。
本書の根底には、もちろん「引き寄せ」があります。自分の波動と似た波動の人が集まる、無意識の部分で願っている人を引き寄せるということです。ですので、まずは「自分自身を癒そう」ということですね。
この無意識部分で物事を引き寄せる「引き寄せ」について、もう一冊、そこに特化して深く掘り下げている本があります。
ナチュスピ★ブログでもご紹介しています。もしご興味があれば、こちらの本もどうぞ。
(この記事を書いた人/東村山キヨ)
『愛と魂の法則』
錦織新著/光文社
本体1,500円+税