現役の神職であり、神仙道・古神道の道士でもある古川陽明さんに、引き続き『古神道祝詞 CDブック』の魅力について語っていただきました。
宇宙スケールの規模を想定して祈り唱える
神社で祝詞をあげて祈祷することが私の仕事とはいえ、自宅でも朝晩必ず行なっています。
日本の象徴である天皇陛下の安穏。
日本と世界の平穏。
世界中の全ての人々の平安。
必ずこの三つを祈り、そのあとに身の周りの人や家族、最後に自分自身のことも祈ります。
私の場合、大きなことから、だんだん小さなことへと祈りを捧げますが、その逆でもかまいません。どちらの方向からエネルギーを回すか、にすぎないからです。
スケールの大きなところから始めて自分へと狭めてもいいし、自分という小さなところから大きなものへと広げていってもいい。祈りとは、そういうものなんです。
ちなみに昔の人たちは、大きなスケールから小さなスケールへと向かって、祈りを捧げていました。
スケールの大きさは、祝詞にも書かれています。
例えば、祝詞の中の「高天原」という言葉は、大宇宙を指します。それくらい、祝詞がカバーする範囲を大きなスケールで捉えた方がいいんです。
祝詞の出だしには、〝高天原に神留まります(詰まっている)〟と書かれていますが、それは〝宇宙には神様(のエネルギー)が充満しています〟という意味です。
神人一体の感覚で祝詞という光のシャワーを浴びる
祝詞を唱えるのによいタイミングは、特にありません。例えば、朝起きた時や通勤時、寝る前、部屋の雰囲気が重い感じがする時など、いつでも気が向いた時に行なってください。
CD中の全部の祝詞を聞いても、15分くらいです。
私自身、通勤時に電車の中で聞いていたりします。朝起きて、「調子がイマイチだな」と思う時も。さすがに自分の声なので、そんなにひんぱんには聞いたりはしませんが。
特に「禊祓詞」は言霊のシャワーを浴びている感じです。
「禊祓詞」に限らず、このCDの祝詞を聞くことは、言霊の光のシャワーを浴びることになります。言葉というのは、〝言葉の音の波動〟ですよね。音波が空間に影響するのは当たり前なので、その空間にいる自分に影響を与えてくれるんです。
私も、しんどい時や何かがおっくうになった時は、このCDを聞いています。すると、自然と心の中で祝詞を唱えている状態になってきます。
祝詞を聞きつつ無意識に同時に心の中で唱えることで、場の状態が瞬時に変わるのを体感する人もいます。ですので、すべての祝詞は、同時に言葉にして唱えた方が効果的です。できれば、〝神人一体となる〟感覚で唱えるといいでしょう。
要するに、外側から響かすだけではなく、内側からも響かせる。内側と外側を響かせれば、全身の内外に言霊の力が響き渡ることになります。
祝詞は言霊のシャワーなので、心の中で唱えるだけでも自分の状態が違ってきます。
実際に、古来から「本当の祝詞は声を出さない」とも言われています。宮中や上賀茂神社や岩清水神社などの古社では、本当に大事なお祭りでは、微声で聞こえないように唱えています。神様は小さな声でも聞こえるし、大声は無礼になるからです。
声高らかに祝詞を奏上する今の神道のスタイルは、実は、お祓いを命じられてやることになった陰陽師が、僧侶の読経を真似て始めたことなんです。
天変地異への不安などには「禊祓詞」や「大祓詞」を
寄せられた声によると、CDブックの祝詞を寝る前に聞いている人が、けっこう多いようです。
先日、北海道で大地震が発生し、被災地の方は不安な思いで過ごされたことと思います。
6月には、大阪で地震がありましたよね。あの時、「余震が怖くて眠れない時に、この祝詞を聞いて眠れました」という連絡を、たくさんの方からいただきました。
北海道の方からも、「停電の中で祝詞を聞いて、心を落ち着けてました」と連絡をいただきました。
天変地異の災害などを鎮める祝詞は、やはり「大祓詞」が一番だと思います。
本当のお祓いとは魂を大きくしていくこと
仏教では過去に、女性は成仏できないなどの女性蔑視の傾向があったようですが、神道では元々、女性は神様そのものだとみなしています。天照大御神が神様の世界で一番偉かったのも、昔の日本は母系社会で女性が一番偉かったからです。
今、神社にいる巫女さんは、巫女舞を舞う以外は残念ながら神職のお手伝いがメインですが、昔は逆で、伊勢神宮では「大物忌(おおものいみ)」という10歳前後の女の子が、祭祀の実際の頂点にいました。
女性には「子宮」というお宮が、生まれながらに身体の中にあります。女性が神懸かりが得意なのは子宮があるからとも言えます。
自分以外の魂(と肉体も)を受け入れるお宮を持つ女性に、男性が叶うわけがありません。
そのような女性の力を研ぎ澄ますには、「六根清浄太祓 」を聴いたり、唱えたりする事が大切です。
本来の神道というのは、穢れというのは「汚い」ことではなくて、別の意味でした。お休みくださいね、具合が悪いなら辛いでしょう、苦しいでしょう、そんな時に無理しなくていいですよ、ゆっくり休んでエネルギーを充電するんですよ、というのが本当の意味なんです。
古神道では「穢れ」というテーマだけでも、とても深い意味があります。
単に、汚れかと言えば、一番低いレベルではそう。掃除したら綺麗になって、明るい気持ちになるのは、一番下のレベルでの穢れを祓ったということ。だから、神主さんや巫女さんは神社でいつも掃除をしているんです。
でもそれだけでは、物質世界での穢れを取り去っているにすぎない。その上のレベルに、〝魂の祓い〟というものがあります。
祝詞に説かれているのは、〝魂(エネルギー)を大きくしていくのが本当の祓い〟だということ。こういうことが、まだ世の中で理解されていないので、このCDブックで祝詞が広まるといいなと思っています。
万物と通じる力を持つ最高の祝詞「六根清浄太祓」
収録した中でも、昔は盛んだったものの、今では神社では奏上されず、あまり知る人のいない「六根清浄太祓(ろっこんしょうじょうおおはらえ)」の意味をご紹介しましょう。
「大祓詞」は、神道最高の祝詞と言われていますが、吉田神道ではそれ以上に最高とされているのが「六根清浄太祓」です。
それには、こういう理由があります。
「大祓詞」までの一連の祝詞は、「祓う」ことがテーマ。
それに対し、「六根清浄太祓」は二つの祝詞がひとつになっています。半分までは言葉を超えた心の世界を説いていて、それが祓いの働きをし、あとの半分は願望実現のための祈祷に切り替わります。
内容は、このようなことが説かれています。
穢れを見ても、聞いても、嗅いでも、思っても、実は穢れていない。
なぜなら、自分の魂というものが清らかであれば、人は穢れることはない。
自分の心の中には天照大神の分魂がある。
自分たちは、神としての種(たね)を持って生まれてきているから、
その花が咲いて、いずれ身となり結果が生まれる。(ここから先からは、祈祷に切り替わります)
自分自身が清らかだからこそ、自分の五つの内臓の中にも神様がいる。
その神様は五行の神様でもあり、
地上は五行の法則で動いていて、物質も五行に属する。
自分が清らかで安らかにしていると、五行の神様と同じ力が働く。
その神様と同じだからこそ、すべてのものとエネルギーが通じている。
すべての魂と繋がっているから、
祈れば、自分の魂と万物の魂を響かせ合うことができる。
それにより、願いが叶わないことはない。
古川陽明さんによる待望のワークショップ
「古神道祝詞師入門講座」を、9月22日(土)に開催します
http://naturalspirit.ws/yomeifurukawa_201809/
古川陽明さんからのメッセージ
この「古神道祝詞師の講座」は、本当は有望な人に代わりに講師になって欲しかったのだけど、そういう人材がなかなか育たないので、じゃあ育てようという意図があります。
今年のような天災が多い時に、寄付やボランティアをするように、日本全国の有志が鎮災や国土安穏や萬民豊楽を祈って、祝詞を奏上できるようにと。
「古神道祝詞師」というのは私が提唱したものですが、鎮災を祈っている時に幽の神懸りで降りて来たので、神仙の霊示だと思っています。
祝詞の清らかで優しい調和に満ちた言霊を多くの人が発することで、日本の国土も、人々の心も、和らいで静まると確信しています。
自分を祓い清め、天地を祓い清めましょう。古神道祝詞(古伝の祝詞)を奏上して、言霊の力で変化を起こせる祝詞師、というのが「古神道祝詞師」の定義の一つになると思います。
この講座では、そのための実践を一からご教授します。
もちろん一回ですぐ古神道祝詞師になれるものではないですが、段階を経た学習と実践が導いてくれます。
古神道祝詞CDブック
古川陽明 解説・奏上/太玄社