インパクト大のカラフルでポップな表紙。「褒め活を習慣にすると、人生が驚くほど変わっていく!」というキャッチコピーに、一体どんなことが書いてあるんだろうと、ページをめくりたくなる本。
それが、この春出版された『褒め活』(堀向勇希著/ライトワーカー)です。表紙から受けるインパクトは、著者・堀向(ほりこう)さんのイメージをそのまま反映しているかのよう。ハデなファッションと明るい笑顔がトレードマークの堀向さんは、全国展開する「褒めるコミュニケーション」講座の講師を務める、褒め言葉のスペシャリストなのです。
褒めのスペシャリストが教える心地よい人間関係の築き方
相手の心に響く、堀向さんのコミュニケーション術の素晴らしさは、この本のまえがきからも感じられます。さりげない、こんな心地いいあいさつから始まるのです。
「人を褒める本を読もうとして下さるあなたは、
なんと愛があり、素晴らしい人なのでしょう。
それだけで、私は感動で
感動のシャワーをあなたに贈りたい気持ちでいっぱいです」
こんなあいさつを誰かにされたら、自然と好感をいだいてしまいますよね。
そんな堀向さんのノウハウを詰め込んだ本書は、褒める習慣を身に付けることであらゆる人間関係を好転させ、ひいては自分の人生を激変させる方法を集約。具体的な実践法が見事なまでにギッシリ書かれ、相手別・シーン別に合わせた細かな褒め方アドバイスが、驚くほどの情報量で網羅されているのです。
コミュニケーション下手で悩んでいる人や、人間関係を改善したい人にとっては、まさに光明の書と言えます。
マイナスの言葉かプラスの言葉かで未来が大きく変わる
なぜ、褒めることが大切なのでしょう?
この本によると、相手との関係性を築く以前に、何より自分の潜在意識のために良いからだそう。
一般的に、〝潜在意識は、他者に向けた言葉と自分に向けた言葉の区別はせず、すべて自分のこととして受け入れる〟とされています。
プラスの言葉であれ、マイナスの言葉であれ、その言葉を発したり聞くたびに、自分の潜在意識がどうなっていくのか、それに関連して人生がどうなっていくのかは想像に難くありません。
そのことを「死の恐怖」と向き合いながら実感したのは、他でもない著者自身でした。堀向さんが〝褒め名人〟になったのは、ある強烈な出来事にあったのです。
『StarPeople67号』に掲載した「褒め活」誕生までの経緯を、ここで再度ご紹介しましょう。
●自身の暗黒体験から生まれた「人生を大逆転させる方法」
子供の頃から人間関係に悩んでいた堀向さんは、周りの人と円滑にコミュニケーションするにはどうすればいいのかと考えていました。
20歳くらいにバンドを組みましたが、自分以外はヤンキーの方々。仕方なく彼らに合わせるしかなく、文句や悪口ばかり言うようになったら、みるみる運が悪くなっていったそうです。
しかも、その後、大事故に遭ってしまうことにーー。
「このままだと死んでしまうな」と生命の危機を感じた堀向さんが向かった先は、書店でした。そこで出会ったのが、言葉の大切さを説いた斎藤一人さんの本。
それ以来、人生を変えるために〝180度キャラチェンジ〟して、「楽しい」「幸せ」などの言葉を使うようにしたのです。
自己啓発の大家、デール・カーネギーの本『人を動かす』(創元社)との出会いも、大きな転機となりました。そこに書かれていた、褒めることの大切さに深い感銘を受け、現代に応用しながら、すべて実践!
やりすぎて相手に引かれることもあったそうですが、ガッツあふれるチャレンジ精神で乗り越え、褒め技術を身に付け、各地で教えるまでになったのです。そして、実践した大勢の人たちから、人生が変わったと大人気に。
そのノウハウを網羅したのが『褒め活』であり、実体験が元になり、何年にもわたる実践に次ぐ実践で、どんどん褒め技術を洗練させた形となって生まれた本ーー。
『褒め活』に書かれていることが、めちゃくちゃ具体的でうなづけることが多いのは、こうした背景があるからです。
愛ある視点から見てマイナス言葉をプラスに変換
褒めるといっても、やみくもに心にもないことを言うのは、逆にネガティブな行為になります。その点、褒め活の基本は、嘘ではない心からの思いを口にすることにあります。
しかし、これには、ちょっとした訓練が必要です。いかに、あらゆるもののポジティブな面を発見し、それを心地よい言葉で表現できるか、まずは、目の向けどころ=視点に注意する必要があるのです。
例えば、本書で紹介されている「マイナス言葉をプラスに変換するコツ」。
ダメ出しの言葉が浮かんできた時に、どんな言葉を口にすればいいか、あるいは心の中で思えばいいのかのコツがつかめます。
飽きっぽい → 好奇心旺盛
臆病 → よく考えて行動できる
そそっかしい → 始めるのが早い
引きこもり → 学者肌
常識知らず → 自分流の生き方
音痴 → ラップが得意そう
普段、人を褒める傾向にある人でも、あらゆることをプラス言葉に変換するのはハードルが高いかもしれません。ましてや、普段からあまり褒めない人や他人の落ち度が目につく人なら、なおさらです。
慣れるまで、思考の転換に脳が大忙しになりそうです。
マイナスに見える状況もステキに変える「褒め会話」
褒め言葉がその場しのぎにならないよう、本書全体を通して「褒め会話」の見本がちりばめられているのも実用的。
「会話をすべて褒め言葉にする」の項目では、こんなやりとりのお手本が……。コツは、相手だけでなく、自分を取り巻く環境も含めて褒めることと、マイナスに見える状況でもプラス思考をすることにあります。
《友人とお茶している時》
相手「オーガニックスムージーください」
あなた「健康的ですね!」
相手「美味しいのよぉ~」
あなた「それであなたは美肌なんだね」
相手「ありがとう!」
あなた「気持ちがいい空間ね」
相手「いいところよね」
あなた「店員さんも感じいいし」
(中略)
ーー雨が降り出す。
あなた「恵の雨だわ。道路が埃っぽかったからよかった」
相手「傘を持ってきてないわ」
あなた「イケメンが相合傘してくれるかもね(笑)」
褒めることはプラスの出来事を引き寄せる
謙遜の文化を持つ日本人は、褒められても素直に受け取らない人も多いですが、堀向さんのこの言葉には考えさせられます。
ほめ言葉を受け取らないと、もうその人はあなたを褒めなくなるかもしれません。
何度褒めても否定されると、気分が悪くなるからです。
(中略)
謙遜するのは大成功してからでいいのです。成功していく人は、ほめ言葉を謙虚に受けとることがとても上手です。(中略)謙遜したり、ほめ言葉を受け取らないのは大成功してからにしましょう。
波動や周波数という観点から見て、褒めることがなぜ大切かは、あとがきでこのように説明されています。
褒めすぎると調子に乗るのではないか、時には叱ったり怒ったりするのも必要なのではないか、そう考える方もいるとは思いますが、怒られたり落ち込んだりして振動数を下げると、「類は友を呼ぶ」の法則により、下がった振動数を持つ人や出来事が集まってきてしまいます。
私は、ひたすら100%褒めて、認めて振動数を上げるという「流派」でやっています。
スピリチュアルな教えでは、喜びの周波数は非常に高いとされます。その面からみても、褒めること・褒められることは喜びをもたらし、互いをプチアセンション状態へと引き上げると言えそうです。
自分の周囲を見渡して、できる範囲で、毎日温かな気持ちで、あらゆることを褒めてみる。そうやって「褒め活」をしていけば、否が応でも人生が明るいものへと変化していくはず。
そんな人生を生きるために「褒め活」する人が増えていったら、この世界はグ~ンとハッピーで楽しい場所になると思いませんか?
『褒め活』(堀向勇希著/ライトワーカー)はこちら。