スウェーデン在住の高校生で環境活動家のグレタ・トゥーンベリ(16歳)、世界のポップアイコン、ビリー・アイリッシュ(17歳)、アメリカ先住民でヒップホップアーティストのシューテスカット・マルティネス(19歳)他、世界中で、10代の若者たちが声をあげている。
“気候変動の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を止め、人類の明るい未来を確保しよう”と──。
数々の発達障害の特性から見通して発信する、グレタ・トゥーンベリ
現在、16歳。国連事務総長をもうならせる行動をとった少女がいる。
2018年8月20日より3週間、スウェーデンの国会議事堂近くに座り込み、「温室効果ガス削減政策の即時実行」を政府に求めて登校を拒否する「学校ストライキ」を一人自らの意志で決行した、グレタ・トゥーンベリさん(以下、グレタ)だ。
書店に並んだばかりの『グレタ たったひとりのストライキ』(マレーナ&ベアタ・エルンマン、グレタ&スヴァンテ・トゥーンベリ著/羽根由訳/海と月社)の主人公である。
見知らぬ人と話すことさえできなかったグレタが、果たして一人でストライキなどできるのか? そんな両親の不安をよそに、一人座り込んだグレタは、声をかけてくる人たちと臆すことなく対話し、メディアからのインタビューにも応えていく。
そしてその主張がアントニオ・グテレス国連事務総長の元にまで届き、支持を得たことで、国連他、様々な国際会議の場でも発言できるようになった。
グレタの主張は、すべからく緻密な科学的根拠に裏付けられている。16歳の少女なのに。
それは「授かりもの」の恩恵で、彼女には優れた記憶能力があるからだ。元素周期表を1、2分で丸暗記し、気候変動に関する科学データも映像記憶(写真記憶とも呼ばれる)で、瞬時に脳裏に焼き付けてしまう。
いろんなデータがインプットされたグレタには、普通の人には見えない世界や未来が、よりリアルに見通せる。そのためスピーチの場では、環境破壊を止めない大人たちを、時に涙ながらに強い口調で罵倒さえする。
もし大人が今立ち上がらなければ、「私たち10代が大人になった時(2030年以降)には、地球に対してできることはもうなにもない(手遅れ)」と、わかっているからだ。
自身が作詞した楽曲で発信する、ビリー・アイリッシュ
世界中で絶大な人気を誇るビリー・アイリッシュは、自身が作詞した楽曲『All the good girls go to Hell』で、独特のささやくような歌声で、気候変動危機への注意喚起を世界にうながしている。
「大洪水が始まったら最後、天国はもうどこにも見当たらない」とーー。
映画『気候戦士』で発信する、シューテスカット・マルティネス
11月下旬より、ドキュメンタリー映画『気候戦士~クライメイト・ウォーリアーズ』が公開される。
この映画には、アーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事他、気候変動危機を訴えて、政府や非エコ的な企業に理解を求める活動家たちが、多数登場する。
現在19歳のシューテスカット・マルティネスも、気候戦士の一人だ。地道なデモ活動なども行う一方で、ヒップホップアーティストとしてラップに乗せて気候変動危機を警告するなど、エンターテインメント的な要素を活用することも忘れていない。
私たちの家が燃えています。(中略)
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によると、私たちの失敗を取り消せる時間はあと12年もないそうです。(中略)
これは、2019年1月23日「世界経済フォーラム(通称ダボス会議)」でのグレタのスピーチだ。
このままでは、2030年以降、地球がどのような気象状況になるのか、誰にも予測不能な現在。使命に目覚めた10代のインディゴたちが、2030年以降に20代・30代になったとき、人生でいちばん華やぎ、本領を発揮できるゴールデンエイジを迎えられるのか、否か。
その選択が託され、問われているは、今の大人世代である。気候変動に対する対策を「今すぐやるか、否か」と。
(この記事を書いた人/ソラアキラ)