異例の長さだった梅雨もようやく明けたけれど、もう一つの異例、いまや世界を巻き込んだコロナウイルスのパンデミックは、まだまだ収まりそうにもなさそうだ。
こんな真夏にもかかわらず、マスクをしなければならない世の中になるなんて、果たして誰が想像できただろうか!?
追い打ちをかける情報はいらない
自分は10年前からテレビは家に置いていないので、コロナ関連の報道ももちろん耳には入ってこない。
妹の自宅にはテレビがあるので、どのような報道状況かを聞いてみたところ、連日のようにコロナ関連の報道がされているとのことだった。
大手のメディアが流す情報は信頼性に乏しく、ある種の洗脳装置にしか思えないから、信憑性の高い情報源は自ら探すしかない。
ところが、一部を除いて高齢者ほど、テレビや大手新聞の情報を鵜呑みにしていると思えるし、いわゆる「B層」(*)の人たちが主流を占めている日本では、連日のメディアによるコロナ情報で、どうしたって不安を抱えざるを得なくなるだろう。
心がネガティブになってしまうと、身体の免疫力も落ちてしまう。
*マスコミ報道に流されやすい、比較的IQ(知能指数)が低い人たちと定義されている。
そんなマイナスの波動が渦巻くコロナ禍で、読んだ本があった。絵本と言った方がいいかもしれない。
それが、『日本村100人の仲間たち The HOPE』(吉田浩著/辰巳出版)。
著者は大学時代に童話を書き始め、130冊近くの幼稚園・保育園児向けの絵本や紙芝居を出版された方。
最近では大人向けの童話も手がけ、2002年に出版された『日本村100人の仲間たち』は累計45万部を誇るベストセラーとなっている。
コロナ禍の社会で起きていることを絵本風に表現
その続編にあたる『日本村100人の仲間たち The HOPE』を手にしたとき、表紙のカバーイラストを見て、なんとも心地よい安堵感を感じた。
本書を1ページ毎に読み進めていく度に、未来を見つめ、明るい社会を目指して生き抜く考え方が、ユーモアも交えて綴られている。
そのメッセージと一体化するかのような、とても素敵なイラストが目に飛び込んでくる。色のバランスも目に優しい。
イラストレーターは誰なのかなと思いきや、松野実さんだ。あのシリーズ累計95万部の大ヒット作『目は1分でよくなる』『耳は1分でよくなる』(自由国民社)でイラストや漫画を手がけた方で、まだ記憶に新しい。
サブタイトル「統計データで読み解く 日本の真実・世界の真実」にあるように、豊富なデータをもとに、日本と世界で起きていることを童話のように紹介しているのが、この本ならではの魅力だ。
恐怖心を煽ることなく、苦難の時代の生き抜き方を優しい語り口で伝えてくれているのもいい。
文字のサイズが大きく、各ページの文字数も少ないので、数十分で読み切ってしまった。
友人の小学生の娘さんに試しに読んでもらったところ、「童話風になっていて読みやすい」とのことで、評判は上々だった!
自分の感想としては、あとがきがとても印象深かったので、最後にその一部をご紹介したい。
「今」をピンポイントで見ると、私たちは不幸のどん底にいます。
しかし、50年、100年という長いスパンで俯瞰したら、「今」は別な意味を持っているのかもしれません。
実際、多くの人たちは不況の波に飲み込まれていますが、中には、波に乗って大きく飛躍する人もいます。
100年に一度のピンチではなく、100年に一度のチャンスかもしれないのです。
この言葉には非常に同感した。
誰であっても、それまでの人生経験の中で、当時は大変に感じられたことが、後々振り返ってみたら決してピンチではなかった。
ピンチどころか、今に繋がるためのチャンスだった。
そのように思えることが、多々あるからだ。自分自身、それが人生の大事な経験則になっている。
危機的状況をバネにする考え方を身につける
子どもは大人と違って、どうしても人生経験が乏しい。
だから、つらいことが起こると、それだけで心が折れてしまい、やる氣を無くし、自暴自棄に陥りやすい。場合によっては、悲しいかな、自殺を選択してしまうことだってある。
その意味でも、できれば本書は親子で読んでほしい。読み聞かせでもいいだろう。
そうして、読み終わった後に親が子どもに次のキーワードを教えてあげるのだ。
「ピンチはチャンス」。
まだ頭の柔らかい子どもの時期に、「ピンチはチャンス」という捉え方を知っておけば、その子の未来はどうなるだろう?
大人へと成長して社会の荒波に揉まれながら生きていく過程で、降りかかるであろう幾度かの困難に、打ち勝つことができるのではないだろうか!
本書は、コロナ禍を通じて人生の経験則を子どもに教えてあげることのできる、とても貴重な一冊だと思う。
コロナさん、ありがとう!
※この童話の著者印税10%は全額、赤十字などの医療機関に寄付されるそうです。
(この記事を書いた人)
丹波-浪速道/元ナチュラルスピリット社の関西支局担当者として、営業・取材・編集などに6年間従事。丹波~浪速の(京都~大阪を主軸とした)近畿圏の霊ラインを活性化させて、伊勢~白山の霊ラインにからませた霊ラインの十字架をつくることで、日本人の意識の目醒めを促進。1986年、アメリカ大陸を101日かけて自転車横断達成。生まれながらの冒険野郎。次なる夢は、地球の地底世界に移住すること。
『日本村100人の仲間たち The HOPE』
吉田浩著/松野実 画
本体900円+税