フジワラユカの「住まいの問題を解決する風水探偵」/vol.7 ミニマルすぎる白い部屋の落とし穴

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コンテンポラリー風水コンサルタントのフジワラユカです。
ミニマリズム、ミニマリスト、という言葉が平成の後半に流行りました。モノを減らし、自分にとって本当に必要なモノだけを用いて豊かに暮らそうというライフスタイルを持つ人を、ミニマリストと呼びます。

昭和の前半は、モノがお部屋にあることが「豊かさ」の象徴でしたが、大量消費、飽食の時代を経て、モノが多いことが「負担」「重荷」に感じる人が増えたのだと思います。
風水の観点でも、不必要なもの、役割を終えたものは保有するよりも手放し、空間を常に活性化させていくことをお勧めしています。ですから、風水では「ミニマリズム」がよいことだと捉えていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、「ミニマリズム」は必ずしもよいわけではないのです。

今回は、スタイリッシュな方が陥りやすいミニマリズムの罠についてのエピソードをご紹介します。

殺風景すぎるミニマルな白い部屋

その部屋の住人は、知的で自分のライフスタイルをしっかり持っているという感じの女性。これから本格的に、独立起業していこうというステージにいらっしゃいました。
玄関を開けるとフローリングの上の小さな玄関マットが目に入りました。それは、オフホワイトの木綿の玄関マット。「シンプル&ナチュラル系のお部屋だな」と思いました。

廊下からお部屋全体を見渡して気づきました。「モノがとても少ない!」と。白い壁とフローリングを彩るものはとても少なく、ベッド周りもキッチンも、オフホワイト中心に整えられていました。
お聞きすると、ミニマリストに近いライフスタイルを目指していらっしゃるとのこと。完璧に綺麗なお部屋。その方自身も、とてもスタイリッシュに見えました。

「でも、ちょっと殺風景すぎない?」。
シンプルで清潔で、とてもよく整えられているけれど、私は目に入る景色に彩りが少なすぎることが気になりました。空間の彩りは、豊かなエネルギーの循環をもたらすからです。
オフホワイト中心のシンプルな空間では、たとえば思考が堂々巡りしたり、人間関係においては疎遠になったり、仕事やお金の巡りも悪くなるといったことが起こります。

そこで課題をお聞きしてみると、その女性は「これから個人事業を軌道に乗せていこうとしていて、今は少しスタックしたような感じがしています、方向性にも迷っています」と話してくれました。彩りの少ない部屋では、人生の道に関しても方向性を見失いがちになるのです。

やはり・・・。殺風景な空間と、起きている状況がシンクロしているようでした。
そこで、お部屋の空間に少しずつ彩りを施していく提案をしました。ご自身のスタイルをしっかりお持ちの方ですから、当然のことながら「花柄のベッドカバーにカラフルな玄関マットにしたら、良い運が訪れますよ」なんて言ったら、受け入れ難いことでしょう。
というか、風水探偵は、そもそもそのようなことは一切言いません(笑)。風水はその人の深い意識と連動しなければ意味がないのですから。

サンキャッチャーとふきんで彩りを

私はふと、小さな明かり取りの窓に下げられたサンキャッチャーが気になり、「光は当たりますか?」と尋ねしました。なんとなく、光が差してこない窓のように見えたからです。
そうしたら、「光が当たらないので、サンキャッチャーを吊るしてみたんです」とおっしゃいます。

なるほど!そのように考える人が案外いらっしゃるかもしれませんが、それはサンキャッチャーの役割を生かしていない使い方
サンキャッチャーは太陽の光を反射させて、美しい光のプリズムを部屋全体に拡散してくれます。その様子はとても美しく、部屋全体にエネルギーが巡っていきます。サンキャッチャーの気持ちを考えても、自らの役割を十分に果たし、喜んでもらえるほうがうれしいわけです。

私はサンキャッチャーの場所を動かすことを提案しました。殺風景なお部屋の中に、役割を果たせず波動が落ちたものがあると、空間もエネルギーダウンしてしまいます。
太陽が指す場所にサンキャッチャーをかかげてみると、キラキラとした虹の玉が現れました。心がはずむ感覚が湧いてきたのです。

そしてキッチン。きれいに整っているのは本当に素晴らしいのですが、キッチンにも彩りが少なかったので、「お手持ちのタオルや布でカラフルなものはありませんか?」とお聞きしました。
すると、ちょうどよく、ネイビーと赤が印象的な布があったのでそれを折りたたみ、キッチンにちょこんと置いてみました。

「どうですか?」
「・・・あ、いいですね!」

オフホワイト中心のミニマルなスタイルを好んでいらっしゃいましたが、こうして小さな面積でも彩りが存在することで、空間にコントラストができ、エネルギーの循環が生まれます。その変化をこの小さなふきんが実演してくれました。

こうして少しずつ、ミニマルなよいところは残しつつ、少しずつ印象的な彩りを空間に施すことで、スタックした状況から脱出する作戦を二人で練ったのでした。

改めて「ミニマリズム」について考えてみる

ミニマル、シンプル、殺風景・・・。どれも似ていて区別がつきにくいものですが、その人の深い意識にある「豊かさ」と共鳴していなければ、人生を豊かにする作用が減じてしまうことがあります。

ミニマルなライフスタイルというのは、多様な人生経験を経て、必要最小限な生活に着地するものだと私は考えています。
禅の庭園や茶室などは、制約された世界の中で、山河や花や水の音など、自然の美を表現しています。その中に計り知れない美や豊かさがある、と感じ取れた人にこそ、その空間の世界のサポートがあるということ。結構、ハードルが高いですよね。

後日この女性から「モノって、なさすぎてもダメなんですね。自分の生活に豊かさや潤いが大切だということに、深く気づくことができました」というメールが届きました。
スタイリッシュに頑張っていらっしゃる素敵な女性に多い、今回のエピソード。読者の皆さんにも、気づきがあればうれしいです。

フジワラユカ
コンテンポラリー風水コンサルタント。早稲田大学卒業後、大手出版社に勤務し、『こどもちゃれんじ』『かいごのみかた』等の編集長を務める。仕事を通じ「家族関係」や「愛情問題」を深く見つめる中、コンテンポラリー風水の創設者であるMark Ainley氏と出会い、風水師に転身。「人生の流れを創るお部屋の風水」の実践は高い評価を得ている。著書に『幸せな子は、幸せな部屋で育つ。親子の日常をサポートする子育て風水』(麻布書院)。

「人生の流れを変えるお部屋の風水」ブログ
https://www.yukafujiwara-consulting.com/blog
http://fengshui-tokyo.com/

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