こんにちは。医療占星術家の福本基です。
私はプライマリ・ケア医のかたわら、伝統占星術を探求し、セミナーや書籍を通して皆さんに魅力をお伝えしています。
このたび、『はじめての恒星占い』(太玄社)を発売し、現在、Amazonでも好評をいただいています。
この本は、12星座の星占いのように、57種類ある恒星を人間のタイプ別に対応させて解説し、自分の隠された能力や性格がバッチリ把握できる内容です。
6月3日は、都内の書店でトークショーを行いますので、ご興味のある方はぜひ、一緒に楽しい時間を過ごしましょう。
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自分の最大の長所や才能がバッチリ分かる、57タイプ別の恒星占いの面白さについて、
6月3日(金)のトークショーで語ります!
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この本の発売を記念して、天体に興味を持つ方が増えますよう、個人的な推しの「2022年に注目の天体ショー」を、次にご紹介します。
2022年の注目の天文現象を解説!
占い師は占星術をしているのに、夜空を見上げる機会は意外と少ないです。
占いの依頼は夜中ではなく、昼に多いから仕方がないことかもしれません。
そして仕事柄、現実の夜空でなく、ホロスコープからさまざまなことを読み取ることになります。でも、ホロスコープの場合、地図と同じように、3Dを無理やり2Dに変更しているわけですから、どうしても歪な形になっています。
例えば、ミッドヘヴンを天頂ともいいますが、本当は「南中点」。ホロスコープでは一番高いところにありますが、実際の空では真南ということで、決して最高点ではありません。
ホロスコープでは、高度は省略されているのです。すると、実際の天体はどうなっているのだろうと、疑問がふつふつと湧いてきます。
そんな時、「古代の占い師と同じように夜空を見てみよう」と思えてきます。現代では、占星術と天文学が分離してしまったことを嘆く占い師もいます。
でも、占い師から天文学に寄り添ってみても良いのではないか、とも思うのです。
夜空を見ることで、きっと占いにも役立つ、何かがあるはずです。
『はじめての恒星占い』(太玄社)にも書いたように、星に願いが届く偶然にも意味が見いだせるでしょう。
それではここからは、「2022年に注目の天体ショー」をご紹介します。
6月中旬~下旬 惑星一直線
6月中旬から下旬にかけて、明け方の空に「全ての惑星たち」が一同に会します。
古典占星術で用いる太陽以外の6惑星(月含む)だけでなく、現代占星術で用いられる天王星、海王星、冥王星も見ることができます。
この現象の占星術的意味合いは、「月のトランスファー」を実感できることです。
月は古典的には、「第3ハウス」(*)を担当します 。月が惑星の間を通り抜け、それぞれの想いを伝える姿を目にできます。
土星から始まった情報交換は6月下旬の水星で終わりますが、月自体は徐々に欠けていき、水星を通過する頃にはほとんど見えなくなります。
これが、実際のコミュニケーションにどう現れるのか、興味が湧きますよね。
天王星以遠の惑星は、望遠鏡や双眼鏡がなければ見ることができません。これを期に、購入を検討されるもの良いでしょう。
*第3ハウスにおいて、月はJoy(喜び)の意味となる。詳しくは、『基礎からわかる伝統的占星術』の305ページで解説しています。
7月22日 火星食
火星と月が、地球から見ると重なっている様子が見えます。占星術では「コンジャンクション」の状態です。
「月の出」の時点で、火星は月の裏側に隠れています。0:15頃に、火星が月の右側から徐々に顔を出します。
暗い部分にも、ちゃんと月があることがわかるでしょう。古代の人達も、同じ経験をしています。ですから、月が太陽の光を反射していることに、経験的にも気づいていたはずです。
残念ながら、九州以西では、「月の出」の時点で火星が顔を出しています。ですので、火星食を見ることはできません。
ただ、その他の地域でも、とても低い高度(下の画像では高度7度)で起きますので、なるべく障害物のない、高いところで見る必要があります。
ちなみに、こぶし一つ分の広がりが10度ですから、かなりシビアな条件であることがお分かりいただけるでしょう。ですが、その分、見られればとてもラッキーです。
もう一つの注意点が、日時です。7月22日に「火星食」が起こりますが、これはちょうど0時頃の日付が変わる時。7月21日の夜に待ちましょう。
*火星食に関しては、『はじめての恒星占い』の41ページのコラムでも解説しています。
8月28日 水星が東方最大離角
惑星が太陽から最も離れる日を、「最大離角」と言います。
たとえば、「西方最大離角」と表現される場合の、「西方」とは、西の空というわけではなく、太陽の西側という意味です。
同じように、「東方最大離角」は太陽の東側という意味です。
ですから、惑星が「西方最大離角」の時は、東の空に見ることができるのです。
水星の場合、東の空と西の空のことがありますが、8月28日の最大離角は西の空です。
18:30前頃に、西の空に見えます。仕事終わりに水星を見られるチャンスです。
でも、水星はとても見えにくい惑星です。いつも太陽の近くにいるため、ホロスコープでは、太陽と水星は約30度までしか離れられません。
そのため、大きく2つの理由で見えづらくなります。
1. 太陽の明るさに負けて見えにくい
2. 低い高度(10度くらい)でしか見られない
水星は、太陽の周りを動き回る子犬のような存在です。太陽が地平線からいなくなってすぐ、低めの西の空を探してみましょう。
素早い子犬のような動きは、水星の表す「トリックスター」そのものです。
9月10日 中秋の名月
中秋の名月は、旧暦の8月15日に見られる月です。この日はちょうど木星と土星に、満月が挟まれています。
秋は月の高さが高すぎず低すぎず、ちょうど縁側に座って見るのによい高さまで上がります。
“月光を浴びせた月見団子をいただく”というのも風流ですが、自分で作るのが面倒な方は、中国にならって月餅を買ってきても良いでしょう。
また、「十五夜」は里芋の収穫時期でもあるため、「芋名月」ともよばれます。
ですから、里芋をお供えするもの良いですね。小腹がすいていたら、月見そばや月見うどんもまた、風流かもしれません。
10月9日 水星が西方最大離角
10月1日頃から、水星の「明見星」(*)が見え始めます。9日には太陽との距離が18度になり、一番見やすくなります。
8月に見逃した方は、今度は早起きして再チャレンジしてみましょう。
双眼鏡があれば、水星が「下弦の月」のように、上半分が欠けている様子も見えるはずです。
*詳しくは、『はじめての恒星占い』の63ページで解説しています。
11月8日 皆既月食
今回の月食は、日本全国で好条件での観察が期待できます。18:09から欠け始め、19:16に「皆既月食」となります。
皆既食は20:42に終わります(合計86分間)。その後、徐々に明るさを取り戻し、21:49に部分食が終わります。
今回の月食で特に特徴的なのが、「天王星食」も見られることです。
20:40頃に月の東側から天王星を隠していきます。再び天王星が顔を出すのは、21:20頃です。
これはホロスコープでは、月が天王星にアプローチ(接近) する姿になります。
月食中は、まるで10円玉のような「赤銅色(しゃくどういろ)」です。天王星は「薄い青色」に見えます。
ただ、天王星はとても暗い六等星ですので、双眼鏡や望遠鏡が必要です。
次に見られる月食は2023年10月29日ですが、部分月食です。なかなかこのような好条件の月食はないので、晴れを期待しましょう。
*詳しくは、『基礎からわかる伝統的占星術』の152ページで解説しています。
12月後半 日没後、全惑星が地平線の上に
12月後半には、6月中旬~下旬のように惑星が一直線に並びます。
そして、12月22日には水星が東方最大離角となり、金星を目印にすれば探しやすいです。
その日は残念ながら、月は太陽の近く(コンジャンクション)にあり、とても見えづらいです。
その代わり、火星が明るく大きく見えます。
火星は2年2ヶ月ごとに、地球に対して接近と離別を繰り返しているのですが、12月1日に最も接近します。
大中小で言うと、中くらいの接近ですが、-1.2等星にまで輝きます。
そして、12月8日には、火星はちょうど太陽と反対側にあります。ホロスコープでは「オポジション」です。
その後も時間経過とともに、色々な惑星が見えて楽しめるはずです。
クリスマスも近く、今年の最後を飾るにふさわしい賑やかな西の空です。
『はじめての恒星占い ―57の恒星が明かす、隠されたあなた』
福本基著/ 太玄社
『基礎からわかる伝統的占星術』
福本基著/ 太玄社
ふくもともとい/医療占星術家。医学博士。1979年、東京生まれの京都育ち。信州大学医学部医学科卒。東北大学医学部博士課程修了。精神保健指定医。日本抗加齢医学会専門医。プライマリ・ケア医として勤務中。伝統的占星術による「医療占星術」を専門にしている。
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