現役の神職であり、神仙道・古神道の道士でもある古川陽明さんに、今回は『古神道祝詞 CDブック』の祝詞について解説していただきました。
祝詞の力を日常に活かすために
ここでご紹介する9つの祝詞の体感の仕方は、人それぞれです。
体が熱くなる人もいれば、何も感じないという人もいます。ただし、感じていても自分が感じていることがわかってない状態のこともあります。
個人差はありますが、早い人だと、1回目で違いを感じられると思います。特に「大祓詞」は効果を感じやすいはずです。
私自身、このCDで力を入れたのは大祓詞です。元々は、この祝詞を収録するためだけの企画で、CDブックを作る流れになりました。一発撮りで臨んで、時間が余ったので、それではとよく使う他の祝詞も録音したら、それらを全て入れることになったんです。
ですから、収録現場で通しで祝詞を唱えて、ほとんど手を加えていない状態でCD化されています。通常、祝詞の本はあまり売れないものですが、このCDブックはすごく売れました。それくらい反響が高かったです。
私は文中に、〝このCDを聴くことにより、真の大祓詞の完全な姿を垣間見た方々は、無限の道福を得て、魂魄は清められ、ついには神人合一して、「真の人」となれる機縁が生じることでしょう〟と書いています。
このような力を与えてくれる祝詞の素晴らしさについて伝えたいと思っていたところ、「実際に祝詞奏上の実践を教えて欲しい」という声も高まったので、今度、9月22日(土)に講座を開くことになりました。ぜひ、祝詞の世界に気軽に足を踏み入れてみてください。
収録されている祝詞のミニ知識
『古神道祝詞CDブック』では、次の9種類の祝詞を意味ある順番で収録しています。
それぞれのポイントを解説しましょう。1. 禊祓詞 (天津祝詞・平田篤胤伝)
一番の基本の祓として、非常に重視される祝詞であり、「罪」「穢れ」を祓うための詞が一通り書かれています。
私たち神主がご祈祷する時、まずはこの詞を唱えます。そしてお祓いをして、清らかな状態になってから、いろんな祈願を叶えるためのそれぞれの願いに応じた祝詞を奏上して祈祷をします。
この「禊祓詞」の長いものが「大祓詞」と一般的には思われています。この2つの祝詞は、本質は同じものとも言えますが、実は祓の神として登場する神様が異なるなど、やはり別々に奏上した方がよいものです。2. 大祓詞 (中臣祓詞・宮地水位伝天津祝詞之太祝詞)
神道の精華と言われる祝詞。〝個人だけでなく、社会や天地の一切の罪、咎、穢が祓われ、祈願が叶う〟という万能の究極の祝詞です。
穢れを祓うことで有名ですが、実は、この祝詞には穢れを祓うなどとは、ひと言も書かれていません。その代わりに、「罪」については書かれています。
大祓詞は、このCDブックの一番の要であり、いわゆる「秘密の呪文」を入れています。本来なら公開が許されない呪文を、この激動の時代を生きる人々を救うために、特別に神仙(かみ)から許可を得て収録しました。
ただし、何を唱えているかはあまり聞こえないようになっています。その言葉自体も、本の中には載せていません。私のように、神仙道の神主は、世の中でも稀です。そして、私がこの呪文を誰かの前で唱えることは特別な時だけです。
その呪文を、なぜこのCDに収録したかと言えば、〝この秘密の呪文を入れてこそ、本物の大祓詞が初めて完成するから〟です。3. 三種太祓(卜部神道)
天地人を祓い清める、短いが非常に力のある祝詞です。4. 六根清浄太祓 (卜部神道)
吉田神道の根本であり、吉田神道では「大祓詞」よりも上位に位置付けられている、非常に霊験あらたかな祓詞。5. 神変自在変穢成浄之上科津祓 (卜部神道)
肉体の不調や病気が気になる人に。6. 神通自在心源清浄之下科津祓(卜部神道)
魂の安寧と活力を取り戻す、癒しの祓詞。精神的にダウンしている人に。7. 身禊祓詞 (伯家神道)
1の「禊祓詞」をもっと詳細に書いた詞 。「禊祓詞」に比べ、こちらには、十数神の神様の名前が連なっています。8. 四十七音之傳(日文祓詞・卜部神道)
宇宙の秩序が説かれた祝詞。神懸かりの呪文としても有名です。9. 天之数歌 (布瑠部神言・宮中鎮魂祭)
宇宙の生成が説かれた祝詞。病気治しや鎮魂や霊供養にも用いられます。●9種の祝詞は、その人が求めているテーマに合う祝詞を聞くのが一番いいと思います。
●ただし、「1〜4」はベーシックなので、どれも聞くことをお勧めします。プラス、目的に合わせて「5」か「6」を必要に応じて使い分けていただくと効果的です。
●「7」は、「1」では簡単すぎて物足りないと思う人に。
古川陽明さんによる待望のワークショップ
「古神道祝詞師入門講座」を、9月22日(土)に開催します
http://naturalspirit.ws/yomeifurukawa_201809/
古川陽明さんからのメッセージ
この「古神道祝詞師の講座」は、本当は有望な人に代わりに講師になって欲しかったのだけど、そういう人材がなかなか育たないので、じゃあ育てようという意図があります。
今年のような天災が多い時に、寄付やボランティアをするように、日本全国の有志が鎮災や国土安穏や萬民豊楽を祈って、祝詞を奏上できるようにと。
「古神道祝詞師」というのは私が提唱したものですが、鎮災を祈っている時に幽の神懸りで降りて来たので、神仙の霊示だと思っています。
祝詞の清らかで優しい調和に満ちた言霊を多くの人が発することで、日本の国土も、人々の心も、和らいで静まると確信しています。
自分を祓い清め、天地を祓い清めましょう。古神道祝詞(古伝の祝詞)を奏上して、言霊の力で変化を起こせる祝詞師、というのが「古神道祝詞師」の定義の一つになると思います。
この講座では、そのための実践を一からご教授します。
もちろん一回ですぐ古神道祝詞師になれるものではないですが、段階を経た学習と実践が導いてくれます。
古神道祝詞CDブック
古川陽明 解説・奏上/太玄社