中国の秘法であるクンルンネイゴンの正統な継承者であると同時に、世界各地に存在するエソテリックの奥義を体得、体現、継承しながら一修行者としての人生を送る、Kan.さん。
テーマを決めずに行ったこのインタビューでは、日常をスピリチュアルに生きるポイントや、IT化によって退化していく人間の能力への言及、それを超えるためのアドバイス、日本の未来についてなど、考えさせられるテーマが次々と飛び出しました。
現代を生きるすべての人に向けた、深いメッセージをお届けしましょう。
覚醒を目指すなら、地に足を着けて生きる
スピリチュアルな世界に軸足を置こうが置くまいが、私たちは社会で生きる存在であることには変わりありません。その中にあって、発言や行動を介して何かしらを社会に提供するには、地に足が着いてなくてはなりません。
自分たちがどういう方向に向かうにしろ、今ある社会を見据えて、そこに立脚したものを展開していく必要があるからです。
その点、スピリチュアルな分野というのは、独特な問題をはらみます。そこは、錯覚が入ったり妄想が入ったりと、検証しようのない危ういものを相手にする世界であるがゆえ、少し間違うと、いい感じで成長してきた人もそれに巻き込まれてしまうからです。
そうならないためには、一人ひとりが自覚をもって自分を磨くことが大事です。つまり、なおのことグラウンディングを心がける必要があるということです。
神秘主義者として知られるG.I.グルジェフは、覚醒を目指して瞑想修行に励む人たちを横目に、自分の弟子たちには「ワークをせよ」と言いました。この場合のワークには、「社会で生きるための仕事」と「スピリチュアルな修行」の2つの意味がかけてあります。
グルジェフは、仕事のできない人間には真実はわからないと考えていました。覚醒を目指すには、地に足を着けて社会的に生きる必要があることを知っていたんです。