いけだ笑みの「空を仰げば」〈6〉 3月は「火星双子座イングレス」による賑やかな葛藤を楽しむべし

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こんにちは。占星術家のいけだ笑みです。
昨今の空模様から連想される徒然について、今回も発信します。

3月4日の「火星双子座イングレス」に注目

今月はビッグイベントである「春分の日」があるので、それについて書かねばならぬのだろうけれども、私が個人的に注目しているのは、3月4日の火星双子座イングレス(*)だったりします。
*イングレスとは、ある天体が位置している星座から、隣の星座へと移動すること。

節の入りについては前回お話しましたが、占星術的に「春分の日」は太陽が牡羊座入りする日で、この日を起点に、同じ位置に太陽が回帰するまでの一年間、広く影響を与えるとされます。

そのため、占い業界で浸透しているのが、春分図を解読することで1年間の運勢を占うという、習わし。

でも、春分図をざっくりふんわり当たり障りなく占った内容なんて、数ヵ月後まで記憶していたことなどなく、ふんわり的中したとしても「あら、この出来事は・・・あそこに書いてあったわ!」なんて想起されることもなく、空しい

なので、春分図は置いておいて、もっとライブリーな影響を持つ面白そうな配置はないのかと天文暦を開いた瞬間、目に留まったのが、火星の双子座イングレス(入宮)でした。

熱く乾いた星である火星のイングレスは、いつだってエキサイティングです。
なぜならば、火星の動きに合わせて、火星から見た「0度」「90度」「180度」の位置にあるサインたちが、にわかに騒めきたち、焚きつけられ、メラメラしたあげく、何かしら勃発するからです。

しかも3月は、火星と同じく熱く乾いた太陽が魚座を経過する季節。
通常は、クレバーでコケティッシュな柔軟宮たちが、この影響からどのように乱れるかを考えてみたいと思います。

人間的要素満載の柔軟宮の特徴

柔軟宮と呼ばれるサインは「双子座(風の柔軟宮)」「乙女座(土の柔軟宮)」「射手座(火の柔軟宮)」「魚座(水の柔軟宮)」の4つで、すべて季節の変わり目に該当するサインであるがゆえに、悪く言えば不安定で迷いやすく、良く言えば臨機応変で機転が利き、順応性が高いとされます。

共通して、サービス精神の旺盛さや奉仕的性質を有し、環境や相手に合わせたり、要求に応えようとする性質が行き過ぎると、小さな怒りや不満を募らせ消耗します。

活動宮が「起点で推進力」なら、不動宮は「持続力」で、柔軟宮は最終調整して次の活動に引き継ぐ場所にあり、「意味を与える」という人間の本質に関わる役割りを担います。

非難を覚悟で極端な言い方をすれば、私は柔軟宮だけが人間的で、活動宮は動物的反射に突き動かされるゴリラだし、不動宮は静物的かつ鉱物的な彫像(私は不動宮をマリーアントワネットと呼んでいる)で、それを味わったり、意味付けを見出すのは柔軟宮なのだと感じることがあります。

ちなみに、柔軟宮の視点には「フォーカスする範囲」がそれぞれにあり、双子座は乱視、乙女座は近視、射手座は遠視で魚座は弱視という例えを、松村潔氏がされていたと思います。

柔軟宮の位置が教える葛藤する分野

また、柔軟宮を理解するうえで参考になるのは、2方向に分かれる性質が2種類あることです。

 

分類1

「男性宮」に属する柔軟宮双子座と射手座
 ▶︎ともに外交的で、気まぐれな行動力

「女性宮」に属する柔軟宮乙女座と魚座
 ▶︎ともに内向的で、気まぐれな献身を捧げる

分類2

「ドライ」な柔軟宮/射手座と乙女座
 ▶︎ともに求道的で、気まぐれに山籠もり(人と離れる)

「モイスト」柔軟宮双子座と魚座
 ▶︎ともにさみしがりで、気まぐれに人に懐く(あるいは気まぐれに泣く)

分類3

「水星」を支配性に持つ柔軟宮双子座と乙女座
 ▶︎ともに理知的で、気まぐれなおしゃべり

「木星」を支配性に持つ柔軟宮射手座と魚座
 ▶︎ともに直観的で、気まぐれな善意

 

やっと本題に戻りまして、今回、「魚座と双子座で起こる太陽と火星のスクエア」は、上記の分類上“どちらのグループでも、別々に分布したサイン間での緊張した角度であること”を考慮しながら影響を推測すると、そこに相入れない要素を両立させるための相当な工夫が必要であることが見えてきます。

太陽は「目的意識」で、火星は「闘争と欲求」です。
魚座の太陽は、「直観に従って感じろ、それが全体を救うヒントになるんだ」と信じようとするエネルギーで、双子座の火星は、「好奇心の赴くままに行動せよ、先手必勝乱れ打ちで敵に挑むのだ」と急き立てます。

これは、自己犠牲精神や公徳心と利己主義の葛藤でもあり、例えば、コロナ禍での行動に適用すると、自粛することとGo Toとの関係性のように、「工夫や策との矛盾」が体現しているようにもみえます。

星の影響は世相だけでなく、個人レベルやあらゆる細部に宿ります。

皆さんの出生図のどのハウスに「柔軟宮の四角(4星座)」(*)が当てはまっているのかをチェックして、どういった分野で葛藤が引っ張り合って乱れるかを考えてください。
*双子座・乙女座・射手座・魚座が、ポロスコープ上で形づくる位置関係(四角形)のこと。

 

●出生図のアセンルーラー(*)、太陽、月など、主要な天体が柔軟宮にあるか?

●出生図のどのハウスに「柔軟宮の四角」が当てはまるのか?

*アセンダント(出生時の上昇宮)のサインの支配星のこと

ハウス解釈の一例

1-4-7-10ハウスカスプ(*)が柔軟宮の場合
▶︎ 自分 ― 家 ― 伴侶 ― 仕事 での葛藤

2-5-8-11ハウスカスプが柔軟宮の場合
▶︎ お金 ― 遊び ― 借り ― 未来(夢)での葛藤

3-6-9-12ハウスカスプが柔軟宮の場合
▶︎ 通勤 ― 労働 ― 勉強 ― 不安 での葛藤

*ハウスカスプ/ハウスの境界線を指す。

 

火星が双子座を経過するのは、3月4日から4月23日までなので、その間は、「直観と知恵」「犠牲と技巧」「善意と衝動」などの葛藤が起こりやすく、賑やかな春となるかと思われます。
人間らしくお楽しみください。

 

 

いけだ笑み
宇宙のからくりと人間存在の謎について、物心ついたころから考え続け、古代占星術と錬金術思想にたどりつく。1999年からプロの占星術家としての活動を開始。主にホラリー占星術の研究と実践に取り組みながら、東京、大阪、仙台、福岡などで講師活動やイベントを主催。著書は、『基本の「き」目からウロコの占星術入門①』『基本の「き」目からウロコの占星術入門②』『ホラリー占星術』(説話社)、『フレンドリータロット』(太玄社)など。

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『いますぐ深読みできるフレンドリー・タロット』
いけだ笑み著/ 太玄社

『ホラリー占星術』
いけだ笑み著/説話社

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