日木流奈さんインタビュー/第5回 コロナや災害が起きてはいるけれど、大丈夫な人たちが増えています

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重度の脳障害により、肢体が不自由になりながらも、リハビリによって意思疎通が可能になり、その突出した表現力で「奇跡の詩人」と呼ばれた、日木流奈さん。
昨年11月末に、久しぶりにお会いした流奈さんは、相変わらず研ぎ澄まされた感性で、どんな質問にも瞬時に理路整然と答えられる賢者ぶりが健在でした。
今年2月で31歳になった流奈さんのインタビューを数回に分けてお届けしましょう。
※意志疎通の方法として、文字盤を指し示す流奈さんの指先の微妙な動きをお母さまが読み取って、示された言葉を口にする形で伝えてくださいました。
※このインタビューは、2019年7月に公開した〈1〉〜〈3〉記事の続きのシリーズとしてお届けします。

流奈さんからのメッセージ

──ますます先の見えない社会状況の中で、先行きを不安に思ったり、苦境に立たされている人が激増していることと思います。
今、世の中を見て、日本の人々に伝えたいことは?

本当に激増していますか? ホントかな?

──ニュース等では、そう報道されているので。実は、真実ではない偏向報道が昨年から増えているという声が、世間の一部では高まっているようですけど・・・。

つまりね、日本は今まで
いろいろな被害に遭ってきているでしょ?
それらを経験してきて、
人々が何も学んでないとは思えないのですよ。
私はかなりの確率で、
物事が起きた時に対処できる人たち、
覚悟がある人たちが増えていると信じているんです。

もちろん、嘆いている人たちも多いと思いますが、
心が丈夫になった人たちが一定量いるとね、
社会はもっと大丈夫になるんですよ。

で、今までの災害から、
人々が学んでこなかったとは思えないんです。

だから私は、どちらかというと、
こんなに災害が起こってくれているんだから、
今回のこと(コロナ禍)も、
大丈夫な人たちが増えているんではないかと
想像してるんです。
たくさんの経験を、直接ではなくても、
共有してきたのですから。

けっこうありましたよね、
地震や氾濫や台風や、毎年、何かしら起こっている──。
それらから、人々が何も学んでないなんて、
とても信じられないです。

だから、あんまり信じてないんです、
みんなが、「悪い状態だと思っている」なんて。

実際、ここにいる人(*)
そう思っている人、手を挙げて。
(*流奈さんの取材現場にいた取材関係者たち)

・・・誰も手を挙げない。
ということは、ここにいる人たちで、
今を悪い状態だと思っている人はいない。
ここだけで言えば、確率ゼロ。

そういう人たちを増やしていけばいい。
そのためには、自分がそういう生き方をしないとね。
自分がそうなれば、周りもみんな、つられてくるから。
私はそういう生き方をしてるんです。

つまるところ、
一人ひとりの心の成長が世界を救うんですよ。
と、いつも私は思っています。

──流奈さんから見ると、現在の社会状況は良くなっていくと思われるわけですね?

いいも悪いも、人が決めているだけ。
事は、ただ起きているだけ。
自分がこの世に生まれ、どう生き、
どういう人生を歩みたいか、だけですよ。

どうせなら、自分も楽しく、
周りの人も楽しい人生がいい。
でも実際、病気はあるし、天災もある。

私も発作が起きると息できないから、
死を隣に感じていますよ、常に。
昨日もおとといも、発作で苦しかったし。

でもね、楽しいんです。
これは矛盾してないんです、私の中では。

コロナにかかったら、
私のように呼吸が悪い者は、死に直結するでしょうね。
でも、かかるときはかかるんです。
つらいし、ヤダと思うけど
それが起きてしまったのなら、
どうあがいても受け入れるしかない。

べつに達観しているわけではなく、
何言ったって、そうなったら
状況は変わんないでしょ?

だから、その時にできることをするだけ。
私の場合、親は当然、医者に診察させるだろうし、
私も、生きるための努力を最大限する。

それだけなんです。
本当に、ただそれだけ。

(この記事を書いた人/Y-MAYUMI)

以心伝心のお2人。流奈さんに対するお母様のあふれる愛情は、とどまることを知りません。

https://starpeople.jp/seijingoroku/hikiruna/20190723/5042/

日木流奈
ひきるな/1990年2月11日、横浜市に生まれる。極小未熟児(1480グラム)、先天性腹壁破裂の状態だった。直後の三度の手術のストレスにより脳にたまった水が脳を圧迫し、脳障害となる。新生児けいれん、点頭癲癇の発作が出る。1991年、抗けいれん剤の副作用で白内障となり、両眼の水晶体を摘出。1992年、ドーマン法のプログラムを開始する。1994年、グレン・ドーマン博士の人間能力開発研究所の診察を受ける。1995年、文字盤によるFC(ファシリテイテッド・コミュニケーション)で、他者との意志の疎通が可能となる。1998年、自伝・詩集を手作り本『想ふ月』を自費出版。著書はほかにも『月のメッセージ』(大和出版)など。

『伝わるのは愛しかないから』
日木流奈著/ナチュラルスピリット

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