松村潔のアナザーワールド/vol.6 タロットカードと「世界卵」からの脱出

「21世界」のカードでは、楕円の枠、すなわち卵の中にいる人物は両性具有者として描かれるが、これは、男女に二極化した段階から見ると進化であるが、ウィリアム・ブレイクはむしろ“一者からすると転落したもの”だとみなし、両性具有者を否定的なものとみなす傾向がある。

それは透明でなく「暗い」のだ。「21世界」のカードの楕円の輪は、すでに四元素を外界に追い出しているので、炎の剣に包まれているわけでもなく、雪の嵐の中にあるわけでもない。
アリストテレスの考えだと、月の上に第五元素があり、月の下に四元素がある。「21世界」のカードはこうした考えに則ってシンプルに描かれているので、真ん中にある楕円の枠は四元素に分割されていない、つまり時間と空間がない「永遠性の卵」、アカーシャの「タットワ」、日本語で言えば「虚空蔵の中」にあるものだ。

ちなみに、この時間と空間の中に解体されていない領域で、意識を保つのは難しい。なぜなら、わたしたちは時間と空間がある中で自我意識を育てているので、非局在的な時間も空間のない領域で、目覚めた自分を維持するのが困難なのだ。
多くの人はこの領域でもいろんな体験をしているが、たいていごっそりとその部分だけ記憶が失われているので、自分がそこにいたということを語れない。その場所では不在なのだ。
地球の回転の作り出す時間リズムに依存しきって、何かしたつもりになっているのだが、地球の自転・公転によりかからないで自力で体験をすることは考えもしていないので、時間が止まった時に、その後どうやって自分を維持することができるのか、さっぱりわからない。

これについては訓練したほうがいい。時間のない世界では、自力で空間を歩くように時間を歩く。それができれば、死後もその人は存在できる。

ウィリアム・ブレイクの詩では世界の卵の殻は冷たく硬いが、これは感覚的現実という、いくら押しても引いても変化しないものをあらわし、しかし「21世界」のカードに描かれた楕円の枠は、そう硬いものではない。
むしろ植物性をあらわしていて、植物はエーテル体の比喩でもあるので、この殻は物質次元よりもひとつ上の段階にある世界の皮膜を意味する。もちろん四元素を外に追い出しているのだから、それは間違いない。
アリストテレスの言うように、「月の上」と「月の下」という区分があるなら、これは「月の皮膜」であることになる。電磁気よりももう少し振動が高い成分だ。つまり、電磁気的相互作用には縛られない、世界のしがらみには囚われないのだ。

楕円の卵は非時間、非空間ということで、逆に、どんな時間・空間の世界にも入り込むことができる。なので、この「21世界」のカードはいろんな宇宙に行く宇宙船でもあって、ここまでたどり着くことができるならば、「1魔術師」の“世界への転落”と“巨人の頭蓋骨が壊れた”という現実を解消することができたというということになる。

結局、「1魔術師」から「21世界」のカードへの進化とは、内部に混じり込んだ四元素の作り出す混沌、脅威などを整理して、ひとつひとつに没入・自己同一化せず、“それを外界に吐き出すことで自らを第五元素の位置に押し上げるというプロセス”なのだが、ウィリアム・ブレイクの発想であれば、まだ両性具有であるという点に不安要素を残す。
それはいつでも割れる余地があり、炎の剣に包まれた自分と、雪の嵐の中で凍っていく殻に包まれてしまう可能性があるからだ。

でもこの両性具有は、“世界という不思議なものに興味を抱いたアントロポースが、世界の根源である湿潤なるフュシスに抱きしめられてしまった”ということに原点がある。
つまり、卵に包まれた子供という図が、そもそも両性具有とみなしてもいい。殻は常に女性と定義される。

「21世界」のカードは、特定の世界にじっと居座る宇宙船でなく、しばしばあちこちを飛び回る宇宙船ならば、両性具有という存在性の危うさを残したままにしても、かろうじて特定の世界に転落はしないということを示しているのかもしれず、となるとのんびり放置していることは許されないということにもなる。
うっかりしていると、気がつかない間に卵の殻が固くなり、ウィリアム・ブレイクの言う想像力が力を失い、世界は透明性を失い、サタンの支配するものとなり、脱出不可能なものとなる。

ちなみにこの卵の殻は何重にも想定できて、どれかの殻を選ぶつど、違う世界に入り込んでいくのだが、切り替えるつど、まったく違う記憶がアクセスされてしまうので、昔から言われるように、人格は軽くしておいたほうがいい。

 

松村潔
まつむらきよし/1953年生まれ。占星術、タロットカード、十牛図、エニアグラム、ライフシンボルなど、 いくつかの手法を活用して講座・研究会などを開催。アカシックリーディング等でも、タロットカードや占星術を併用すると安定性が高いという考えから、ツールの複合性を提案している。『わたしの運命がわかる地球星座占い』(角川書店)、『ディグリー占星術』『三次元占星術』(以上、説話社)、『土星占星術講座』(技術評論社)など著書多数。
http://www.tora.ne.jp/

 

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