先日お伝えした、9月21日の「ピースデー」制定に尽力したジェレミー・ギリーさんが来日し、記者会見が行われました。
ピースデーは世界的な停戦と非暴力の日であり、世界中で緊急支援活動を一斉に行う日です。
ジェレミーさんを招聘した「PEACE DAY JAPAN 」の共同代表である関根健次さんと彼は、10年越しの話し合いを重ね、今回ようやく来日が実現したそうです。会場では、メンバーの方たちからの真摯なメッセージもあり、ピースデーが象徴する平和であることの重みが、ひしひし伝わってきました。

ジェレミーさんとPEACE DAY JAPANの方たち。そうそうたる顔ぶれのメンバーは左から、ユナイテッドピープル(株)代表取締役/関根健次さん、(株)LIFUL代表取締役/井上高志さん、英治出版(株)代表取締役/原田英治さん、作家・自由人/高橋歩さん、谷崎テトラさん、ピースボート共同代表/川崎哲さん、国連平和の鐘を守る会代表/高瀬聖子さん、(株)ピープルフォーカス・コンサルティング取締役/黒田由貴子さん、横浜コミュニティ・ラボ代表理事/杉浦裕樹さん ©「PEACE DAY JAPAN ジェレミー・ギリー氏来日」記者会見

ジェレミー・ギリーさんからの平和へのメッセージ

人類がひとつになれるための日を作りたい

今回、初来日できたことを光栄に思っています。私はこの活動を19年前に始めました。その時、世界で起きていたことに非常に恐怖を感じていたからです。
私には理解できませんでした。世界中で地球を破壊し、人々は殺し合い、コミュニティでは暴力が、学校の中ではイジメが起きているということが……。
ですので、世界中の人々に呼びかけて、映画を作ろうと思ったのです。当時は、「平和についての映画」を作ろうと思いました。貧しい人もお金のある人も含め、いろんな人たちに向け、この世の中はなぜ、こんなふうになっているのか、私たちはどう理解すればいいのかについての映画をーー。
そして、単にいろんなアイデアについて取材した映画では不十分だと気づきました。例えて言えば、〝山を登りたい〟と感じました。

平和というものは、何から始まるのか? どうやって作るのか? 人類はどうやったらひとつになれるのか? そのことについての映画を作ろうと思ったのです。
みんながひとつになれる機会が必要だと感じましたが、当時はそういう機会やそういう目的で制定された日などは、何もありませんでした。
そこで、世界で初めての停戦の日であり、非暴力の日を作ろうと思ったのです。
作るにあたって、その過程を映画に記録し、9月21日を国連が「国際平和の日」として制定するための運動を始めました。国連に加盟しているすべての国、すべての政府に呼びかけて、この日を作ろうという運動でした。

「国際平和の日」が実現し、紛争地での命を救えるまでに

私は何年もかけて世界中を巡りました。ダライ・ラマ、ネルソン・マンデラなど、数々の著名人に会って、「この日を一緒に作りましょう」と呼びかけました。
著名人だけではなく、紛争地域や世界中の学校も訪問しました。その結果、「本当にこの日を実現できるのだ」ということを証明していけたのです。

次のステップとして国連へと出向いたところ、国連総会は全体一致で、9月21日を「国際平和の日」として制定しました。そうやって、国際平和の日を定めることが実現しましたが、その後も〝疑念を抱く人〟はいました。「単なる〝日〟で、何ができるのか?それでは平和は作れない」と批判する人たちが。
そこで、こう思ったのです。「この日には意味があるということを、証明しないといけない」「アフガニスタンのような複雑な紛争地であれ、停戦の日を作ろう」と。
それは実現しました。タリバンも合意してくれたからです。彼らは「9月21日は誰も殺さない」と表明したため、(支援団体は)その日、140万人の子供たちにポリオのワクチンを与えることができました。9月21日を国際平和の日と定めることで、大勢の子供たちの命が救われたのです。

暴力をなくすには身のまわりを平和にすることから

その後、この日には意味があるということを、世界中に証明することができました。そのための数年間、私は世界中の企業、宗教団体、学校、大学、自治体、政府機関などを訪れました。そして最終的には「国際平和の日」という存在を、世界中の10億人もの人々に知ってもらうことができたのです。

最後にお伝えしたいことがあります。
今、世の中のほとんどの暴力というものは、私たちの家庭の中、コミュニティの中、学校や職場の中で起きています。なんと興味深いことでしょう。
私たち一人ひとりにできることがあります。生活の中で平和を作る、ということです。
誰と作るのでしょう?
例えば、家族の中で、しばらく話していない人がいないでしょうか?
学校の中で、友だちと一緒に遊んでいない子供がいないでしょうか?
職場の中で、チームから外れている人がいないでしょうか?

一人ひとりが考えて、一人ひとりが健全な形で平和を作ることができます。そうやって、私たちのコミュニティを平和なものに変化させることができます。
平和というものは、私たち一人ひとりの手の中にあります。私たちは、世界を変えることができます。私たちは、平和を作ることができるのです。

長崎で被爆した戦争捕虜の祖父と日本への特別な想い

私はこの19年間の旅で、123ヵ国を訪問することができました。旅を始めた時から、ずっと日本のことを考えていました。
私の祖父は戦時中に、戦争捕虜として長崎の近くにいました。(被爆した)彼がその後に、苦しみや平和について語っていたこと、地域の中で活動していたことが私自身にとって、とても大きなインスピレーションを与えてくれました。
国際平和の日付けは9月21日です。この21というのは、祖父に関連しています。彼が長崎にいた頃の戦争捕虜の仲間で、家族の元に帰れたのは21人でした。私はその数字を、平和の日にしようと決めたのです。ですので、ある意味、この21日は日本からもインスピレーションを受けたようなものです。
私は19年間、ずっと日本のことを思っていました。今回、国際平和の日=ピースデーを日本中に広めるためにやって来ました。19年間もずっと思いを向けていた国にやっと来れたことを、大変うれしく思っています。ありがとうございます。

ジェレミーさんからは、飾らない人柄と行動力あふれるエネルギッシュさがにじみ出ていました。©「PEACE DAY JAPAN ジェレミー・ギリー氏来日」記者会見

 

ピースデーのマーク。世界中で、この日が徐々に知られてきています。

平和と非暴力の大切さを日本中の人々の胸に

ちなみに、ジェレミーさんは友人の俳優ジュード・ロウさんと共に、ピースデー制定に向けて行動することもありました。ジュード・ロウさんはピース・ワン・デーの大使を務めていますが、2人はかつて共にアフガニスタンを訪れ、長年にわたり到達できなかった地域で、450万人の子供たちへのポリオ予防接種キャンペーンを行っています。
今回、ジェレミーさんは、9月2日の幕張海浜公園で行われたイベント「PEACE DAY」に出演した他、広島と長崎にも訪れ、平和に関するスピーチを行いました。
とどまることを知らない彼の情熱と信念は、様々な場所で、平和と非暴力の大切さを人々の胸に届けています。きたる「ピースデー」が日本にしっかりと根付く日も、そう遠くないことでしょう。

 

映画「ザ・デー・アフター・ピース」
ジェレミーさんが監督したこの映画を、どなたでも上映できます。また、この作品の教育機関向けDVDを購入すれば、授業でも使用できます。
https://www.cinemo.info/movie_detail.html?ck=63

PEACE DAY JAPAN

http://peaceday.info/about

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